|
広がるアート・マーケット
月に一度、都合がつくと、私は現代日本版画商協同組合の交換会に出席する。ひとまず30年前の創立時からのメンバーなので、売買の場所というだけでなく、長年の同業の友人たちに会ういい機会でもある。
アートはどのように流通しているのか、外からはなかなか見えにくいだろう。画廊とお客様との直接取引以外に、さまざまの売買がある。洋画商や版画商などの組合がしきる会、個人の会主や出資者による会などさまざま。これらの交換会は美術商の鑑札をもつ人たちのいわば閉鎖的、特権的なマーケットだ。
一方、昨今の美術市場で顕著な変化は、一般の美術愛好者にも開かれたマーケットが盛んになってきたことであろう。多様なオークション会社が動きだし、上場した国内大手のオークション会社も現れた。最近では、ルノワールの油彩画が、その大手のオークションで高値落札されて話題になった。また、神奈川県が差し押さえたピカソが競売で外国の方に期待以上の値で落札された。他のオークションでも目玉商品はきちっと高値で落札されている。ネット・オークションも盛んになってきた。バブル崩壊から約15年、日本のアート・マーケットは隆盛の兆しを示しているようにみえるが、日本経済の回復とパラレルといえるのだろうか。
マーケットの大衆化は歓迎すべきことだ。銀座の小さな一画廊も負けないように、魅力的な作品を在庫にもたなくては、と思う。しかし、画廊にできてオークション会社にできないことがひとつある。アーチストとともに質の良い仕事をして、マーケットに問うていくこと。がんばらなくては。
(ガレリア・グラフィカ)
|