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ひと足先に「クレー三昧」
今年は、海外出張の多い年になった。6月後半にもヨーロッパへ出かけた。初めの寄港地はアルプスの山あいの美しい町ベルン。小さいがスイスの首都であるこの地で、80歳を超えたコーンフェルト氏の主宰するオークションが年1回開かれる。手を上げて競(せ)っている人の顔を見ながら、氏は、ドイツ語、フランス語、イタリア語、英語を操って数字をいい、競りあげていく。
欲しいものが、なかなか手に入らないのがオークションの常。2日間の競りのあと、コーンフェルト氏は、世界中から集まった人々をねぎらうように、毎年宴を催してくれる。しかも今年は特別の趣向があった。ベルンを故郷とするクレーの作品を大々的に集めて、新しく建てられたパウル・クレー・センター(美術館)=写真=の6月20日の公式オープンに先立って、特別に展示を見せてくれ、そのあと美術館の中での晩餐(ばんさん)会に招待してくれたのだ。
東京国際フォーラムや関西空港を設計したレンゾ・ピアノの設計も話題だった。屋根の曲線がジェット・コースターのようにうねり、美術館の傍らを走る高速道路のスピードに呼応するよう。いうまでもなく展示はすばらしかった。クレーは表現も手法も多様なアーティストだが、ここでは代表作から手づくり人形や数々のデッサンなど、初期から絶筆の作品までのクレー三昧(ざんまい)ができる。この稀有(けう)な機会を享受できたのは200人ほど。その中で大阪のT画廊さんと私と夫の3人が、クレー・センターを訪問した最初の日本人となった。
(ガレリア・グラフィカ)
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