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2005.9.1(木)更新  銀座ギャラリー日記

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額装は、作品の引き立て役

 「馬子にも衣装」というが、絵画も額という衣装次第で姿を変える。まずい絵でも額でなんとか見せられるし、上質な作品ならば、ぴったりの額装で魅力が増す。額を拒否してしまう個性の強い作品もあるが。

 作品が入荷すると、額装された姿を想像し、イメージに合う額を作る額屋さんに発注する。ヨーロッパから古い額を輸入することもある。

 特に版画は紙なので、額は衣装であると同時に作品保護の役割もあり重大。例えばピカソの20世紀初頭の情緒豊かな線の銅版画と晩年のユーモラスで大胆な色彩のリノカットでは、同じピカソでもまったく雰囲気のちがう額がよい。額あつらえは、楽しみのひとつなのだが、どうしてもうまく決まらず、何度も作り直すこともある。

 最近、イギリスの抽象画家ベン・ニコルスンのドゥローイングを手に入れた。が、日本製の額に取り換えられていて、本来の額は失われていた。この作家は、シンプルに見えるが、木棹の組みが独特の額を使うことで知られている。ふつう額の角は45度が合わさって直角になっているが、ニコルスンの額は直角をつなぎ合わせていく。しかし、リメークしようにも額の細部を、私の周辺では誰も知らなかった。この画家の作品を生前から取り扱っていたロンドンの画廊に製作を依頼するのがベスト、ということになった。連絡してみると、当時の額職人がまだ健在だという。

 待つことしばし、写真で見ていたよりもずっと複雑な組みの堅牢(けんろう)なオーク材の額が到着した。ドゥローイングはようやく着なれた衣装をつけたようで、落ち着き、存在感を増した。

(ガレリア・グラフィカ)
(2005年9月1日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)
 
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