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2005.9.8(木)更新  銀座ギャラリー日記

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版画商に欠かせぬ三種の神器

 私の画廊での稼ぎ頭は、なんといっても版画。油彩画はとても高価で扱えなくても、版画ならばレンブラントもデューラーも、ゴーギャンもピカソもマチスもカンディンスキーもジャコメッティも、なんとか扱える。たいていの西洋の巨匠たちは、油彩やドゥローイングだけではなく、版画も精力的に制作し、表現の一分野となっているのが心強い。

 版画を扱う画廊の三種の神器といえば、まずカタログ・レゾネ。全作品を網羅し、タイトル・制作年・限定数・ステートなどを記録しているレゾネは、作品の素性を調べるために必要なもの。ピカソやミロなどは作品数が多いので、何巻にも分冊されている。また、編年体が多く、作品の変遷を知る上でも、非常に興味深いものである。新しいレゾネが出ると、私はマニアのごとく、すぐに購入する。時間が過ぎると入手困難になるし、古書になるとかえって値上がりしてしまう場合が多いから。

 次なる必需品は各種拡大鏡。特にオールド・マスターといわれる版画になると、肉眼ではなかなか分からない細部を見なければならない。線が弱っていないか、くっきりと立っているか、刷りの良しあしはどうか。全体のコンディションや紙の具合はどうか、拡大鏡は大いに活躍する。

 最後のひとつは、インターネット。一番必要なのは最新の価格情報だ。インターナショナルなマーケットに直結している作品ほど、刻々と変わる情報を常にキャッチ、仕入れと販売に反映させなければ、リーズナブルな対応ができない。特に版画は複数だから、異なる市場の価格を比較できるネットは便利な新しい神器といえる。

(ガレリア・グラフィカ)
(2005年9月8日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)
 
■■■ バックナンバー ■■■

第20回 額装は、作品の引き立て役 (2005/09/1)
第19回 アートフェアで見た「現在」 (2005/08/25)
第18回 アーティストの思いを聴く (2005/08/11)
第17回 現代アートの着心地は (2005/08/04)
第16回 アートフェアの「熱い夏」 (2005/07/28)
第15回 ひと足先に「クレー三昧」 (2005/07/21)
第14回 ネット取引、新たな仕組みを (2005/07/14)
第13回 広がるアート・マーケット (2005/07/7)
第12回 古典版画をめぐる「変化」 (2005/06/30)
第11回 美術館を支える努力と文化 (2005/06/23)
第10回 作品の下見と「ハプニング」 (2005/06/16)
第9回 さわやかな1匹オオカミ (2005/06/9)
第8回 中国現代美術の「やる気」 (2005/06/2)
第7回 子育てと創造、輝くふたり (2005/05/26)
第6回 彼女の心に届いた言葉は (2005/05/19)
第5回 アーティストは「変化」する (2005/05/12)
第4回 コレクションを預かる喜び (2005/04/28)
第3回 最後の言葉「只エガキタシ」 (2005/04/21)
第2回 新しい才能に出会う醍醐味 (2005/04/14)
第1回 青年は、画廊の扉を開けた (2005/04/07)

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