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2006.4.20(木)更新  楽しみ学 ことはじめ
楽しみ学 ことはじめ
ドラム缶窯の入り口で勢いよく火をたく。団扇を手に、熱風を送り込む作業は交代で。なかなかの重労働だ=八王子市の大学セミナー・ハウスで(撮影・佐藤朗)
楽しみ学 ことはじめ
 バーベキューに「炭」は欠かせない。いつもはホームセンターなどで数百円で買っている。これを自分で焼いたら、肉の味も違うかも……。動機は、そんな単純なものだった。春の週末、東京都八王子市の里山で、ドラム缶を使った窯と、穴を掘って焼く伏せ焼き窯で「炭焼き」に挑戦した。
炭焼き
炎にワクワク煙にホッ
 向かったのは、同市下柚木の大学セミナー・ハウスで、市民活動団体「エコ・ネットワーク八王子」が開いた体験教室。雑木林に囲まれた炭焼き場にドラム缶窯や伏せ焼き窯が並ぶ。50人以上が参加した。
 黒炭を焼くドラム缶窯に参加する。午前10時過ぎ、炭材を缶へ。「雑木」と呼ばれる直径5センチほどのコナラやサクラの枝だ。すき間にはナタで割った枝を詰める。焼けると3分の2ほどの量になるという。焚(た)き口を残して粘土で密封、いよいよだ。
 通風口に積み重ねた枯れ木や竹に着火。窯に熱を送り込む。団扇(うちわ)であおぐと炎が広がり、顔が熱い。炎が窯に吸い込まれる。炭焼きの実感がわいてきた。
 炭焼きの最大のポイントは温度管理。黒炭の場合、炭化が始まるのは窯内部で275度以上が必要だ。煙突口で70度台が目安になる。手のひらで温度を知る方法を教わった。煙突にかざし、三つ数えて「アチッ」となったらOK。温度計で計ると、ほぼぴったり。「皮膚感覚」が楽しい。焚き口の火を止め、狭い通風口を残す。中では、炭化が進んでいるはず。焼き上がりまで約12時間だ。
 炭焼き歴20年、指導役の高橋哲男さん(77)によると、煙は時間がたつと、白から紫、透明へと変わる。これでほぼ焼き上がりという。白い煙を冷やすと、入浴剤にも使われる木酢液が採れる。
 少し離れて、窯全体を見渡した。雑木林に白く煙がたなびき、時間がゆっくり流れていくようだ。住宅街が近いと煙に苦情が来ることもある。頼まれて焼くことが多い高橋さんは、炭焼きに理解を求めるチラシを、配って歩いたこともあったという。「どんど焼きの煙と同じと思ってもらえれば、と話すこともあるんですよ」と高橋さん。
 結局、火を落としたのは真夜中だった。これを翌昼まで冷ます。
 翌日の午前中、待ち時間に鑑賞用の炭に挑戦。松ぼっくりや、栗のイガを、空き缶に詰め込み、たき火に入れる。30分ほど。そのままの形で炭になった。簡単でオブジェにはもってこいだ。
 午後2時過ぎ「炭出し」。早く見たい。缶のフタを開け炭をつかむと、まだ温かい。木の皮も一緒に炭化している。切り口に菊の花のような模様も。講評役の多摩炭やきの会会長・杉浦銀治さん(81)からは「木の皮がきれいに付いていて、こういう模様がでるのはいい炭だ」とほめられた。
 自宅に持ち帰った炭でバーベキューだ。炭が燃えていく。うれしい反面、惜しい気もする。焼いた肉は、2日間の「奮闘」が詰まった味がした。
(深谷和彦)
悦楽  自然の中で体を動かし、同時に、モノ作りの喜びもある。焼いた炭は、料理に使ったり、飾ったり。後の楽しみも充実。

悦楽  ナタやノコギリなどを使うので、けがには十分注意が必要だ。煙にさらされるので、服ににおいが付くことも。


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(上)焼き上がった炭。木の皮がついたまま炭化、切り口が菊の花模様にみえる。
(下)松ぼっくりを使った、鑑賞用の炭。手軽に焼けて、オブジェにも。
【用意するもの】
 軍手、汚れてもいい服装と靴、袋・ペットボトル(炭や木酢液の持ち帰り用)。

 桧原都民の森 東京都桧原村数馬7146(TEL042・598・6006)。体験教室。9月23日(土・祝)(申し込み締め切り9月9日)、24日(日)(同10日)。定員各15人。保険料100円。
 甲斐(かい)の国 大和自然学校 山梨県甲州市大和町田野116(TEL0553・48・2779)ドラム缶窯で竹炭を焼く。秋・冬を中心に、随時実施。申し込みは、10人以上の団体が原則。1200円(学校・青少年団体800円)。
 炭やき110番 問い合わせは03・3541・5717。炭やきの会主催。毎週木曜日、午後2時から5時、石原達夫同会会長らが、質問に答えてくれる。
 炭道庵(たんどうあん) 東京都目黒区三田2の9の5(問い合わせは03・5768・1707)。炭を加工したオブジェ作りなどを学ぶ。鑑賞用の炭を焼く体験も。入会金5000円。第1、3(水)。1回3000円、月2回5000円(初級のみ)。教材費別。体験コースあり。オブジェの販売も。

 「すぐにできるドラム缶炭やき術」(1365円)、杉浦銀治・広若剛士監修。創森社。ドラム缶窯の作り方、焼き方、ドラム缶の入手方法まで易しく解説。


(2006年4月20日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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