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2006.6.8(木)更新  楽しみ学 ことはじめ
楽しみ学 ことはじめ
馬場を出て木立の中を散歩。馬の背に揺られての森林散策は気分も最高だ=埼玉県越生町で(撮影・佐藤朗)
楽しみ学 ことはじめ
 しなやかな馬の背にまたがり、さっそうと緑の大地を駆ける――。乗馬という言葉からはそんな、うっとりするような光景が思い浮かぶ。あこがれと同時に、何となく敷居の高い世界というイメージもあった。だが、最近は年齢、体力を問わず楽しめる趣味として人気らしい。それなら、運動音痴の私にもできるだろうか。期待と不安を胸に、乗馬クラブの体験乗馬に参加した。
乗馬
心と体に伝わる躍動感
 青々とした梅林が広がる、埼玉県越生町。乗馬クラブ「エルミオーレ埼玉」は、眺めのよい高台にある。周囲には森が広がり、時折鳥のさえずりが響く。
 乗馬の第一歩はまず、またがった馬を動かすこと。「しっかり指示を出さないと、馬には伝わりませんよ」。インストラクターの谷口祐樹さん(24)のアドバイスに、両脚に力を込めもう一度、馬の脇腹をける。ぎこちない私の合図も二度目は通じ、ゆっくりと歩き出した。
 馬の動きは、歩いている状態の「常歩(なみあし)」、2拍子のリズムで走る「速歩(はやあし)」、3拍子のリズムでさらに速く走る「駆歩(かけあし)」の3パターンが基本。今回は常歩、速歩と、速歩の乗り方である「軽速歩(けいはやあし)」までを体験する。
 馬上の視界は高さ約2・5メートル。顔に当たる初夏の風が心地よい。だが、そんな優雅な気分も常歩までだった。動きが速歩に変わった途端、体をぐらぐらと上下に揺さぶる激しい振動。馬の背骨がゴツゴツと容赦なくお尻に当たり、思わず「うわっ」と声を上げた。
 「驚いたでしょう。初めての人は体が硬くなっているから、よけいに馬の反動を大きく感じるんですよ」と谷口さん。そこで軽速歩の体験へ。リズムに合わせて立ち上がり、反動をかわす乗り方だ。しかし、動いている馬の上では容易ではない。無我夢中で立つ、座るを繰り返していると、ほんの一瞬、馬の動きとタイミングが合った。それは初めての、「馬に乗って走っている感覚」だった。
 乗馬は中高年からでも始められる有酸素運動だ。40分間の騎乗はウオーキング約4千歩のカロリー消費に相当するという。ここでも20代から60代まで、様々な年齢の人たちが馬との時間を楽しむ。
 県内に住む自営業の新井裕喜さん(37)は昨年9月に会員になり、毎週レッスンに通っている。血糖値の高さを医者に指摘され、「長く続けられる健康的な趣味を持ちたい」と思ったのが乗馬を始めたきっかけだ。「生き物が相手だから癒やされるし、だんだん表情なんかも分かってきますよ」
 馬と気持ちが通じ、思い通りに乗れた瞬間に、乗馬のだいご味があるという。そんな境地にはほど遠かったものの、いつもと違う目線で眺めた風景、澄んだ空気の中で馬の背にまたがった感覚は忘れられない。騎乗後は馬の全身にブラシをかけ、汚れた足を洗ってやる。優しい目を見つめ、温かな体に触れていると、自然と穏やかな気持ちになった。  馬と呼吸を一つにして、緑の中を走れたらどんなに気持ちいいだろう。いつの間にか、野望がむくむくとわいてきた。
(伊東絵美)
悦楽  馬の大きな体に触れていると、理屈抜きで癒やされる。馬上からの景色も新鮮。全身運動でバランス感覚が鍛えられる。個人レッスンなら、マイペースで気楽だ。

悦楽  乗っている時間は短くても、普段使わない全身の筋肉を使う。内もも、腰、背中などが筋肉痛になる場合も。


楽しみ学 ことはじめ
 乗馬の最初と最後は馬の手入れ。頭からお尻にかけて、丁寧にブラッシングする。馬と触れ合う心和むひととき
【用意するもの】
 長ズボン、スニーカー(ヘルメット、ひざ下に巻きつけるチャップスはレンタルできる)

 エルミオーレ埼玉 埼玉県越生町(TEL049・277・2171、http://www.elmeaule-saitama.jp)。午前と午後の2回馬に乗る「1日体験乗馬」は平日限定。6300円。初めてでも馬場の外で騎乗体験ができる「はじめての乗馬+森林散策コース」4200円なども。いずれも装具レンタル料630円、保険料200円が別途必要。継続的なレッスンを受けるには会員になる必要がある。
 クリエ三浦海岸ホーストレッキングファーム 神奈川県三浦市南下浦町(TEL046・887・1088、http://homepage2.nifty.com/kuriemiura/trek)。海岸を散歩する海岸外乗コース(初心者)1万4700円から(装具レンタル料200円、保険料300円別途)。

 「乗馬ライフ」(1180円)、オーシャンライフ。偶数月25日発行の乗馬情報誌。発売中の6月号では、初心者でも外乗ができる自然派乗馬クラブを紹介。
 「はじめての乗馬」(1470円)、千葉幹夫監修、高橋書店。馬の種類や乗馬の服装といった基礎知識から、技術的な解説までを網羅。


(2006年6月8日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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