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「できるだけ参加者に手を貸さないでください」。活動前、日本園芸療法普及協会が認可する園芸療法士(リーダー1級)の永谷恵美子さん(34)から助言された。
協会は、都内の高齢者施設を中心に園芸療法の実践者やボランティア要員を育成している。この療法の普及を図る団体は多数あるが、現場実践を重視しているという同協会の活動に加わった。
場所は東京都文京区の有料老人ホーム。園芸活動には、入居者の中から10人前後が参加する。ボランティアは私も含めて4人だ。
この日は、ジャガイモと二十日大根の収穫。春に自分たちで植えたプランターを前に、皆が期待をふくらませているのがわかる。
「うわっ! これ小さくてかわいい」「こっちは色がきれい」。掘り起こし作業が始まると、あちこちから歓声が上がった。作業ができない人も、土の付いた芋を手渡されると静かにほほえんでいた。
疲れが見えてきた人にはゆっくりやってもらうし、余裕のある人には植木の手入れなどもしてもらう。参加者それぞれのペース、性格、体調などを考慮しながら作業をフォローする。重要なのは「楽しい」と感じてもらえるよう、よい雰囲気を作ることかも知れない。「大きいのが採れましたね!」。声をかけながら、私のほうまで楽しくなっていた。
それぞれが懸命に作業する姿を見ているうちに、助言の通り、必要以上に手を貸す必要はないと分かった。寄せ植えや押し花作りなど、どの回の作業でも、扱う花や実の、色や形の美しさが際立つ。たとえ不器用な人でも十分魅力的に仕上げられるところに、植物が持つ力の偉大さを感じた。
もともと障害者施設に勤務していたという永谷さん。花や野菜を育てるときの人間の生き生きとした表情を見て植物の力に興味を持ち、同療法の勉強を始めた。
協会認定「リーダー1級」を取得するには、園芸の講義を10回受け、ボランティア活動を15回以上経験した上で筆記試験を受ける。資格を取得して一施設を任されると、実施一回の報酬は8千円。毎回のプログラムを考え人数分の教材を準備し、報告書も作る。
決して楽な仕事ではないが、やりがいは「参加者の笑顔」だという。週一度の園芸活動を始めた1年半前に比べ、明るくなった人が多く、協調性もみられるようになった。「またよろしくね! と言われるのが何よりうれしいんです」。
植物に触れる楽しさと人の笑顔を見る喜びを、私も改めて感じることができた。
(板倉亜紀子)
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自宅の園芸にもすぐに応用できる植物の知識が増えた。また、旬の花や植物を取り入れるため、季節を感じられる。
参加者それぞれの個性やペースを把握するのは大変。手順を間違えたまま作業を進めてしてしまう人もいたので、常に手元への目配りは必要だった。
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持ち寄った種芋から育てたジャガイモを掘り起こす。種類も大きさもさまざま
【用意するもの】
動きやすい服装、エプロン、筆記用具
◆園芸療法入門講座 ▼8月24日(木)午後1時、東京都目黒区の自由が丘住区センター(自由が丘駅)。▼30日(水)午後1時、東京都杉並区のセシオン杉並(東高円寺駅)。活動内容やボランティアの心得などを初心者向けに説明。1000円(テキスト代・材料費込み)、各日定員30人。要予約。問い合わせは日本園芸療法普及協会(03・5938・3248)。ホームページ(http://members.jcom.home.ne.jp/ht-society/)からも可。
◆東京農大セミナー「園芸療法講座」 東京都世田谷区桜丘1丁目の東京農大世田谷キャンパス(経堂駅)。「入門講座」「福祉」など園芸療法に関する8講座を10月から開講。料金は講座ごとに異なる(4000円から)。受け付けは9月4日から。詳細は資料請求を。問い合わせは同大エクステンションセンター(03・5477・2562)。
◆「心を癒す園芸療法」 日本園芸療法士協会編、コロナ社。園芸療法の歴史や現状を記述した入門書。1260円。
◆「園芸療法のこころ」 グロッセ世津子著、ぶどう社。海外での経験を生かし幅広く活動する著者の体験談。1680円。
◆「植物の不思議パワーを探る」 松尾英輔・正山征洋編著、九州大学出版会。心身の癒やしに役立つ植物の力について解説。2415円。
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