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「ホー、ホケキョ」。教室は、ウグイスの鳴き声の音程で、口笛のあいさつをすることから始まった。分山貴美子先生(34)が出欠を確認する間も、誰かが口笛を練習する音が聞こえる。
幼い頃から自然に口笛を吹いていたという分山先生。音大で学んでいた時、ピアノを弾きながら口笛を吹く「弾き吹き」のおもしろさに目覚めた。数少ないプロの口笛奏者として活動を続け、来年はアメリカで開催される世界大会の出場も考えているという。
「では、お手本を」と分山先生が吹き始めた口笛の音に、思わず息をのんだ。木管楽器のような澄んだ音が教室にすーっと響く。自らウクレレで伴奏をしながら、体を揺らし、抑揚のある演奏。初めて聞いた人は目を丸くする。「これが口笛?」
意外なことに、練習は腹式呼吸から。鼻で一気に空気を吸って、おなかから押し出すように、ゆっくりと息を吐く。先生のようにしっかりとした音量、音程で吹くためには、地道な基礎練習が必要だ。続いて音出し。基本は舌を下の歯の裏側にそっとあて、唇をすぼませ息を吹き出す。ただし、口の形は人それぞれで、この通りにすると必ず音が出るわけではない。基本を念頭に、「無理せず音が出る場所」を探ることがポイントだ。
私の場合、一応音は出る。しかし、消え入るような音量で、音程も不安定。解決策を尋ねたところ、「くちぶえ筋」と先生が呼ぶ、口の周りの筋肉「口輪(こうりん)筋」を鍛えることが、口笛を上達させるこつだとか。以来、音を出すと同時に、この筋肉を意識して吹くことも課題となった。
「お風呂はいい音が出ますよねぇ」と、教室に通って約3カ月の安岡邦昭さん(68)。湿気が多く、程よく音が反響するので、本当に自分の口笛かと疑ってしまうほど素晴らしい音が出る。
「大切なのは、『お気軽、お手軽、お身軽』ですよ」と分山先生。特別な道具はいらない。通勤の途中、家事の最中、口笛はいつでも練習できる。自分の体ひとつで誰でも始められる口笛に「がんばる」という言葉は何だか似合わない。思うように吹けずいら立った時は、先生の「三原則」を思い出し、肩の力を抜くことを心がけた。
口笛を吹き続けて3カ月。すきま風のような音だった口笛は、音量、音程、ともに安定してきた。練習をした、というよりは、自然に口笛を吹く習慣が身についたという感じ。ただ音を出していた時とは違い、少しずつ「楽器」に生まれ変わりつつあることが小さな喜びだ。
(蒔苗沙都子)
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とにかく手軽。いつでもどこでも気が向いた時に吹け、楽しい気分になる。自分の声では出せない高音も、口笛なら出せる。
知らない曲を吹く時に、ある程度、楽譜が読めないと不便な場合も。口笛の音は意外と大きく、遠くまで響く。家で練習する時は、迷惑にならないようご注意を。
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音程を正確にとるための楽器や、唇を潤すリップクリームがあると便利。
【用意するもの】
水、リップクリーム、音程を取るための楽器。
◆ポエポエ 東京都目黒区祐天寺2丁目(祐天寺駅、TEL03・3716・1339、http://www.nofofon.com)。クラスは、隔週(木)の午後7時〜8時半、隔週(土)の午前10時半〜正午に開催。次回は9日(土)。初心者から上級者まで、レベルに合わせた指導を行う。全く口笛が吹けない人を対象としたビギナークラスも毎月1回(土)の午後12時半〜2時に開催。チケット制で、1回3200円、6回1万8000円(1年間有効)。いずれも電話またはホームページから要予約。
◆ヤマハミュージック横浜 横浜市西区南幸2丁目(横浜駅、TEL045・311・1200、http://www.yamaha-yokohama.co.jp)。初心者から上級者まで。講師は高橋一眞先生。(土)午後7時〜8時(月2回不定期開催、要問い合わせ)。入会金5250円、1回2940円。
◆CD「口笛とウクレレ」 関口和之 featuring 竹中直人、ビクターエンタテインメント、1890円。サザンオールスターズの関口和之さんのウクレレの演奏に合わせ、俳優の竹中直人さんが口笛の奏者として参加。「雨にぬれても」など、全6曲を収録。
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