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2006.9.14(木)更新  楽しみ学 ことはじめ
楽しみ学 ことはじめ
好きな食べ物や飲み物を注文して楽しく編む。ビールやワインを飲みながらの人も=東京都新宿区で(撮影・佐藤朗)
楽しみ学 ことはじめ
 仕事が終わって帰宅してみれば、0歳9カ月の我が娘はいつも就寝中。何か父親としての愛情を形にするすべはないか。そんな時に知ったのがニットカフェ。飲食をしながら自由に楽しく編めて人気だとか。編み物は学生の時に多少習ったが、思い切ってカーディガンに挑戦することにした。
ニットカフェ
ふんわりつなぐ編む心
 東京・市ケ谷駅近くのイタリア料理店「ブォーノ」。午後7時過ぎには20人を超えた。入店時に一人ずつ伝票が渡され、帰るときに自分の飲食した分を支払うというシステムで、講習料などはかからない。主宰者の青木久美子さん(45)は「月に一度、編み物好きが集まって楽しみながら編む場所。分からない人には分かる人が気軽に教えています」と話す。昨年5月に始めて、今では新しい人が増えてきたそうだ。
 ビールを飲んでいる人もいれば、スパゲティを食べている人もいる。「このピザ、おひとついかが」「あ、ちょっと待って。編み目を数えているから」など会話が絶えない。作っているのは、コサージュ、ショール、バッグ、アクリルタワシ……と人それぞれだ。
 ここでは男性も珍しくない。内藤泰弘さん(63)は、定年後の今年から編み物を始めて以来、月に3着のペースでセーターを編んでいる。作るのはいつもカウチンセーターで、デザイナーだった特技を生かして、自分でデザインした図柄を編み込む。「自分の考えた図案が少しずつできてくる、その過程が楽しくてね」と話す。「とにかくいいことばかり。ほめられればうれしいし、人にあげれば喜ばれる。やりがいが見つかって充実している」と笑う。妻も、編んでいる間は「うるさくなくていい」と歓迎しているとか。
 初めて友人と参加したのは初心者の五十嵐尊代さん(30)。毛糸と編み棒を借りて、マフラーを目指して編んでいた。私の編みかけの作品をみて感心してくれる。「えー、お子さんのですか。すごーい、編み目がきれい」。ほめられるとやる気も出てくる。
 インターネットを通じた仲間で、初めて顔を合わせたという6人グループもいた。会社帰りのOLや彼氏を連れてきた女性もいる。多くの人が、わざわざ出かけてくる理由を「ここに来ると、刺激になる」と口をそろえる。確かに、ビニールヒモのような糸を使っていたり、気の遠くなるような模様を編んでいたりする人に驚いた。
 「じゃあ今度は、かぎ針と毛糸を持って来たらいいんですね」と五十嵐さんが帰り際に声をかけていた。相手は、次回の「先生」。「すごいかわいいのを作っていて、それを編みたいって言ったら、次来たときに教えてくれるって」
 ニットカフェには3回通い、自宅で何度も深夜まで編んだ。3カ月半をかけてとうとう完成した。編み目は不ぞろいだが、できあがった黄色のカーディガンは、羊毛100%でふわふわして温かそうだ。寒くなるのが待ち遠しい。
(岩田知久)
悦楽  分からなくなっても気軽に人に聞けるという安心感がある。飽きずに頑張れる。

悦楽  ついおしゃべりに夢中になり、手がおろそかに。複雑なものは向いていないかも。


楽しみ学 ことはじめ
 (上)内藤さんが孫のために編んだセーター=東京都新宿区で(撮影・佐藤朗)
 (下)やっと完成したカーディガン。来年も着られるといいのだが……
【用意するもの】
 編み棒、かぎ針、毛糸など

 ニットカフェ ブォーノ 毎月第3(水)の午後6時〜9時半、東京都新宿区市谷本村町3丁目のヴォーグビル2階(市ケ谷駅、TEL03・5206・7760)。イタリア料理店。ピザ650円〜、ビール(小)300円。
 ピンクカウ 毎月第1・3(火)の午後6時半〜9時半、東京都渋谷区渋谷1丁目のビラモデルナ地下1階(渋谷駅、TEL03・3406・5597)。レストラン、バー。
 マザーアース ビス 毎月第1・3(金)の午後5時〜8時、東京都港区南麻布3丁目(麻布十番駅、TEL03・3280・1040)。草木染糸などの販売、編み物教室。コーヒー400円。

 モードとしての編み物展」 10月3日(火)〜8日(日)、午前10時〜午後7時半(8日は6時まで。入場は30分前まで)、日本橋三越本店 新館7階ギャラリー(三越前駅、TEL03・3241・3311)。
 ▼1部=「今よみがえる究極のオートクチュール」と題して、1954〜75年発行の編み物雑誌から、デザインや技術の優れた作品(スーツ、ワンピース)など約100点を復刻。
 ▼第2部=日本を代表するニット作家の広瀬光治さん、下田直子さんの作品約40点を紹介。サイン会やトークショーも。800円、中高生600円。
 ▼屋上ニットカフェ(7日、8日の午前11時〜午後3時、本館屋上)=今展入場者で屋上ニットカフェの参加希望者500人(先着)に「編み物キット」をプレゼント。


(2006年9月14日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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