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2006.10.5(木)更新  楽しみ学 ことはじめ
楽しみ学 ことはじめ
絵を描くときは自分自身との対話の時間。黙々と取り組む受講生を見守る末永蒼生さん(中央)=東京都港区で(撮影・佐藤朗)
楽しみ学 ことはじめ
 色鉛筆やクレヨンなど身近な画材で始められる「カラーセラピー」。心の中のつらい思いを色に置き換えて表現することで発散させ、気持ちを回復させるのだという。東京・南青山の「色彩学校」を訪ねた。
カラーセラピー
色で発散 心すっきり
 机の上にずらりと並んだ40色の色鉛筆。「色でおしゃべりをしましょう」。講師の声が響く。
 カラーセラピーは、心の中の怒りや悲しみといった「負」の部分を、色に置き換えて表現することで吐き出し、自己回復を促すものだという。使った色で心の中を診断して、元気になる色を押し付けることはない。
 「アート&セラピーコース」では1年かけて画材や技法を習う。表現方法の選択肢が広がると、より細かい心理状態を表すことができるようになる。日曜の昼下がり、23人が参加した。
 「赤は怒り」、「黄色は楽しげ」……人が色に抱くイメージには、「さほど違いはないが、その人ならではの意味もある」というのは、「色彩学校」を主宰する色彩心理学者の末永蒼生さん(62)。40年間、子どもの絵を見つづけながら、色と心の関係を研究している。阪神大震災では、被災から1カ月後に現地に入り、ボランティアの活動を支援した。初めは黒や赤など1、2色で血を流す人間や爆発する火山を描いていた子どもたちも、3カ月を過ぎた頃から絵の中に色数が増え、虹が目立つようになった。「セラピーを続けることによる自己回復の力」を再確認できたという。最近では、その経験をもとに、医療や教育現場でも実践し、患者や生徒の深層心理を探るのに一役かっている。
 この日は、グラデーションや点描、指でこする技法など、色鉛筆でできる約10種類の表現方法を教えてもらった。その後は、自由創作の時間。まずはツルツルしたケント紙やゴツゴツした画用紙など5、6種の中から「今日の気持ち」を表現するのにふさわしい紙を選ぶ。そして美術書や写真集を参考に描きたいものを決める。物や人を描かなくても、紙に色を塗るだけでもいい。絵が苦手な人には塗り絵も用意されている。笑い声が聞こえる和やかな雰囲気の中、作業は約2時間続いた。
 最後に、作品を5、6人のグループで見せ合う。印象深かったのは、前日「職場の上司とぶつかった」という看護師の女性(28)。A4判の紙に描かれた猫の塗り絵を上司に見立て赤や紫で塗りつぶした。「すっきりした」と笑顔。「いずれ患者さんにも実践したい」と話していた。
 私が描いたのは河原にたたずむ女の子。のどかな風景画だが、途中、川の「青」を塗り重ねることに夢中になった。聞くと、青には寂しさや喪失感の意味もあるという。無意識のうちにはき出した思い。青に引き込まれた理由は何なのか、改めて自分を見つめてみたくなった。
(野戸昌希)
悦楽  穏やかな気持ちのときは、サラサラと。ストレスを発散するときは力を込めて塗ると「すっきり」。

悦楽  上手に描こうと思ってはだめ。かえってそれがストレスに。描き始めれば何か形になるものだと実感。


楽しみ学 ことはじめ
講師(右)を交えて作品を見せ合う
【用意するもの】
 紙、色鉛筆やクレヨン

 「色彩学校」ハート&カラー 東京都港区南青山3丁目(表参道駅、TEL03・5474・7810、http://www.heart-color.com)。「1116(いいいろ)」の日にちなみ特別ワークショップを開催。
 ▼10月29日(日)、11月17日(金)「色彩アートセラピー 心を再生させる画材体験」。
 ▼11月4日(土)「もっと知りたい日本の伝統色」。
 ▼11月10日(金)「デトックスカラーセラピー ぬり絵で感情を発散!」。
 ▼11月19日(日)「子育てママとパパのアートワーク」。
 ▼11月24日(金)「カラーコミュニケーションの方法 配色から探る気持ちのいい関係」、2500〜3500円(画材費込み)。要予約定員20人程度(先着)。開始時間、通年コースなどは問い合わせを。
「太陽のアトリエ」 茨城県結城市結城(結城駅、TEL0296・32・6306)。色彩学校を卒業した小澤ゆか子さんのアートセラピー教室。県外からの受講生も多く障害者も参加している。3歳からの「子どものアトリエ」(90分3150円)や「大人のアトリエ」(2時間3570円)、マンツーマンや親子で参加できるコースなども。午前10時〜午後6時。(月)(祝)休み。要予約

 「ココロが元気になる! しあわせ『ぬり絵』セラピー」 末永蒼生監修・文、宝島社、1050円。「リラクゼーション」「ストレス発散」「セルフセラピー」「パワーアップ」などの4章立てでイラストレーターのかとうようこさんが描いた。気分にあった絵で楽しむことができる。


(2006年10月5日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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