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サーモンピンクの壁と、白いピアノが置かれた上品な室内。夜はシャンソンバーの一室が、同歌手の長坂玲さん(51)の主宰する教室になる。
初心者はまず、発声や呼吸法を身につけるボーカル・セラピーから。グループレッスンで、土曜のこの日は、主婦や会社員など30〜60代の男女9人が参加した。
「歌は、自分という楽器を鳴らすこと」と長坂さん。トランペットに息を吹き込んで音を鳴らすように、声帯に息を吹きかけ、歌という音色を出す。おなかをへこませ、お尻をキュッとしめて歌う姿勢や、片足立ちでの発声など、楽器の手入れをするように体を整えた。1時間のレッスンが終わると、体がポカポカする。水に手を伸ばしている人もいた。運動をしたような心地よさがあった。
シャンソンの歌詞は、人生の喜びや悲しみを描いたものなどさまざま。ストーリー性があり、語るような気持ちで歌われる。1対1の歌唱指導の「プライベートレッスン」では、別れた恋人への思いをつづった「サン・トワ・マミー」を日本語で習った。
長坂さんは「シャンソンを歌うことは、人生のドラマを演じること」と話す。歌い手は語りべとなり、聴き手が自分の人生を歌に重ねられるように歌う。自我の壁を破り、感情をさらけ出すようにしなければならない。
ピアノで伴奏する長坂さんの手が止まった。「感情を込めて」。恥ずかしがって歌っているのを見破られたのだ。「悲しみを歌う時は、目を伏せて」「目線を少し上にあげて、楽しい時を思い出して」。まるで演技指導を受けているようだ。思い切って、長坂さんのアドバイス通りに歌ってみた。少しずつ恥ずかしさが消えていく。「伝わってきたわよ」と肩をたたいてもらえた。
長坂さんがシャンソンを教え始めたのは99年。「普段は人の話ばかり聞いている」という50代の心療内科医からレッスンを頼まれたのが最初だ。現在、生徒は約120人。最近は、仕事漬けの毎日から脱出したいと教室を訪れる人も増えている。長坂さんはその理由を「シャンソンを通して自分の人生と向き合えることや、社会生活から離れて自分の殻を破った時の爽快(そうかい)感が魅力なのかもしれない」と言う。半年前から教室に通っている40代の古森博美さんは、「心を豊かにしてくれる」と話していた。
自分をさらけ出すのは難しい。でも、愛想笑いをやめて、感情豊かに過ごせたら気持ちいいだろう。そうなれたら、もっとすてきに歌える気がする。
(秋山幸子)
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全身を使って、リズム感や呼吸、発声法を身につけるので、レッスン終了時は、運動を終えたような快さがある。人間関係や仕事など日常のしがらみを忘れ、感情を素直に表現できた時の解放感もいい。
発声法をマスターするために、下半身にグッと力を入れ続ける。普段使わない筋肉なので、おなかや背中が筋肉痛になることも。歌の世界に入り込むために、感情あらわに歌うのは、恥ずかしい。
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(写真上) リトミックで体をほぐす (写真下)呼吸法を学ぶ時、リボンを肺の下に巻いて横隔膜の動きをチェックする
【用意するもの】
筆記用具、飲料水
◆東京シャンソンアカデミー 銀座教室 東京・銀座8丁目のシャンソニエ・マダムREI(新橋駅)。ボーカル・セラピー=毎週(水)(土)の午後1時〜2時。発声法と呼吸法を学ぶ。1回3000円。先着15人。 ▼プライベートレッスン=毎週(月)(水)(金)(土)の午後2時以降。長坂さんによる歌唱指導。25分コースは1回3000円、50分コースは1回6000円。いずれも要予約。入会金3000円。問い合わせは03・3571・6980。
◆槇小奈帆 シャンソン教室 東京・渋谷のヤマハミュージックセンター渋谷(渋谷駅、TEL03・3409・2671、http://www.yamaha-shibuya.com/school/center)。毎月第2・4(水)、午後2時10分〜3時40分。シャンソン歌手の槇さんが「輝いて生きる」「もう一人の自分と出会う」をテーマに指導。楽しく親しむことから。見学あり。月額8400円。定員10人。入会金5250円。入会、見学とも要予約。
◆サロン・ド・ミュージック・バルバラ 東京都港区赤坂3丁目(赤坂見附駅、TEL03・3586・4484)。国内外で活躍するシャンソン歌手らの歌声をピアノの生伴奏とともに。ステージは午後7時半、8時40分、9時50分。ミュージックチャージ5250円(30歳以下3150円、1ドリンク付き)。午後7時〜11時半。(土)(日)(祝)休み。
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