来年、ぼくは還暦を迎える。その記念に、中高年にも登りやすい百名山をぼくなりに選んで、1年間で登ってみようと思い立った。
「日本百名山」が中高年登山者のバイブルになって久しい。著者の深田久弥さんは、品格、歴史、個性に加え、例外もあるが標高1500メートル以上という高さも条件にして百の山を選ばれた。
しかし、技術的、体力的に難しい名山も多い。健康志向で山登りを始めたシルバー世代が目標とするには無理がある。
継続してこその健康登山である。1500メートル以上という条件をはずし、全都道府県から登りやすい一山を選ぶことにした。当然、深田さんが選ばれた山もある。新しい百名山の旅を始めよう。
鹿児島空港に降り立つと目に飛び込んでくる山並みが霧島山だ。宮崎の山だが、鹿児島の方がアプローチしやすい。深田百名山の一山である。といっても一つの山ではなく、西から最高峰の韓国(からくに)岳、獅子戸(ししこ)岳、新燃(しんもえ)岳、中岳と続く連山で、最後に控えるのが高千穂峰(たかちほのみね)だ。
韓国岳から高千穂峰まで縦走すれば霧島山に登ったことになるが、1日では難しい。それで、韓国岳の頂に立って百名山の霧島山に登ったとする人が多い。
でも、穂のようにすっきりした高千穂峰の山容を見たらみんなこの山に登りたくなる。坂本竜馬だって、山容に引かれておりょうさんと登ったに違いない。司馬遼太郎さんの「竜馬がゆく」を読んで以来、ぼくは竜馬ファンである。
初めて高千穂峰を目指した時は、新燃岳の火山活動で韓国岳の往復登山しかできなかった。次に訪れた時、活動は沈静化、高千穂峰を足下にできた。
高千穂峰のさらなる魅力は周辺の温泉群である。この時は硫黄谷温泉にある霧島ホテルに泊まった。ここのロビーには、竜馬が姉にあてた手紙の複製がある。そこには高千穂峰登山が図入りで書き込まれていたので大感激した。
高千穂峰登山は、竜馬と同じように高千穂河原からの往復が一般的だ。高度差約600メートル、「岩崎流ゆっくり歩き」で登り2時間半、下り1時間半。もの足りない人には霧島東神社からのコースがお勧め。神社から頂上まで約5時間だ。「岩崎流ゆっくり歩き」については別の機会に解説しよう。
※高千穂峰の標高は10月6日現在です。