沖縄県といってもいささか広い。いや、長い。鹿児島県の大隅半島から奄美諸島を経て、南西へ約1200キロの台湾までの間、島が架け橋のように連なって弧を描いている。その真ん中あたりに沖縄島がある。
沖縄島から約400キロ南西にあるのが石垣島だ。日本列島の先っぽなのだ。この島に於茂登(おもと)岳という標高526メートルの山があって、沖縄県の最高峰であるということは知っていた。しかし、恥ずかしながら、於茂登岳に登ると決めて地図を開いて初めて、位置関係が頭に入った。
石垣島は八重山諸島の交通の要でもある。与那国島も、人気の高い西表島も石垣島が出発点だ。羽田空港から直行便もあるが便数が少ない。9月の末、ぼくたちは台風の合間を縫って那覇経由で石垣空港に降り立った。
島はひしゃく型をしている。空港は島の南側にあり、目指す於茂登岳は空港の反対側、島の北寄りにそびえている。標高は低いが、小なりとはいえ山系の盟主としての存在感がある。沖縄県の最高峰であり、遠征気分も味わえるので登ってみる価値は十分にある。
「於茂登岳の元々の表記は『大本嶽』で、島の『おおもと』を成すという意味です」とは島の人の話である。
距離があるので、レンタカーを借りて登山口に向かった。街並みを抜けるとアスファルト道路が北へ、於茂登岳へと向かってのびている。たまにすれ違う乗用車はいずれもレンタカーであった。
登山口の手前に車を置く。コースはよく整備されているが、セメントで固められている個所が多く、台風の翌日で湿気が多いせいか、ぬめっていて滑りやすい。下りは足運びに注意が必要だった。
亜熱帯特有のミニジャングルの中を冒険気分を味わいながら、登りはゆっくり歩いて1時間50分。下りは慎重に足を運んで50分で登山口に戻る。
山もよかったが、島自体がとても魅力的だ。時間がゆっくりと流れる。夕方、ホテル近くの海鮮料理店へ行った。生ビールを飲みながらマスターと話していたら、出身は新潟だという。島の居心地の良さにひかれて移り住んでしまったそうだ。彼の気持ちがよく分かった。
あしたは西表島へ遊びに行こう。