蒜山(ひるぜん)は岡山県と鳥取県の県境上に並ぶ上蒜山(1202メートル)、中蒜山(1123メートル)、下蒜山(1100メートル)の総称である。それぞれが独立した山ではなく、岡山県側に広がる蒜山高原の上に乗っかる三つのピークだ。日本山名事典には「蒜山三座」とある。
この山を知ったのは鳥取県の烏ケ山(からすがせん)に登った十数年前。地図を見ると、名峰大山(だいせん)から南東にのびる尾根上に烏ケ山があり、そのずっと東に蒜山があった。
実際に登ったのは今春4月だ。蒜山縦走のツアーに講師として招かれたのだ。下見をするべく1日早く蒜山高原に入った。米子に泊まり、朝、車で上蒜山の登山口・三木ケ原へ向かったが、無情の雨で雨具を着用して頂上まで往復した。
ぼくらが往復した尾根は、高原の上に花道のように突き出している。「この広い野原いっぱい咲く花を」なんて歌いだしたい気分になる。この開放感が蒜山の魅力なのだろう。夕方、休暇村蒜山高原でツアー参加者と合流する。
朝、雨音が聞こえる。やれやれと思いながら朝食のテーブルにつく。
「雨が上がったようよ」と参加者の一人。朝食会場がぱっと明るくなった。
蒜山には(1)前日登ったルート (2)「名水百選」の「塩釜の冷泉」から中蒜山に向かう (3)犬挟(いぬばさり)峠から下蒜山に登る、以上三つの登山道がある。今回は犬挟峠から下蒜山に立ち、中、上と縦走して三木ケ原へ下る計画だ。
晴れ上がった青空に浮かぶ蒜山三座を眺めながら犬挟峠へバスで移動。総勢36人は3班に分かれ、5分間隔で出発する。こうすると、すれ違う時などのギクシャクが大きくならずに済む。
下蒜山は思ったより急登であった。その分、ぐんと空にせり上がっていて眺望がすばらしい。大山から甲ケ山(かぶとがせん)へと連なる山並みが手招きする。
中蒜山で昼食後、計画通り上蒜山に立ち、三木ケ原へと下った。峠から下蒜山まで2時間、中蒜山まで2時間、上蒜山まで1時間15分、休暇村まで下り3時間。休憩を含めると約10時間の登山だ。
体力に自信のない方は高原散策も楽しめる。レンゲツツジの咲く5月下旬から6月上旬がおすすめ。塩釜の冷泉で入れてもらったコーヒーがおいしかった。