由布(ゆふ)岳は別府市の西、湯布院町との境にそびえる活火山だ。端正な山容で豊後富士とも呼ばれている。由布院温泉を筆頭に、別府温泉、塚原温泉など名湯が近いから人気が高い。
初めて由布岳に登ったのは96年11月、登山ツアーの講師として招かれた時だった。思い出深いのは、カミさんと12歳、5歳の2人の息子も一緒に登ったことだった。
深田久弥さんのご子息、森太郎さんとお話しする機会があり、面白い話を聞いた。山に誘われて承諾すると、とてもうれしそうだったこと。その時が高価なオモチャをねだるチャンスだった、なんていう話は、ほのぼのした深田ファミリーのぬくもりが伝わってくる。ぼくも子どもが一緒に登ってくれるとうれしい。
博多駅前で乗り込んだバスが由布岳登山口まで運んでくれた。ほかに東登山口、西登山口があるが、多くの登山者を迎えているのが由布岳登山口で、駐車場もトイレもあり、ぼく自身も過去4回の登山でこのコースを登った。
いつものように準備体操をして出発。カヤの原っぱの中、一直線の道を進むと林の中に入り、ひと登りで合野越。ここから由布岳本体の登りとなる。釣り鐘のような山容だから登るにつれ急になる。ジグザグを繰り返して登ると「マタエ」と呼ばれるコースの分岐に出る。右は東峰、左は西峰に続く。
傾斜はさらに増し、東も西も岩山だ。西の方がやや高いが、岩登りの技術を要するので、東峰に立つことでよしとしたい。登山口から山頂まで2時間40分ほどだ。頂上は高度感があり、東に別府湾、南に九重連山などが望める。
この山は思ったより花が多い。3月下旬からキスミレやハルリンドウが咲き始め、5月下旬には人気のミヤマキリシマがふもとから山頂へピンク色に染め上げていく。溶岩塊の間にはイワカガミやマイヅルソウがかれんな花を咲かせる。
さて下山。上半分は急だから緊張する。合野越まで下れば一息つける。下りは1時間45分ほどである。登山口まで戻ってバスに乗ると早々に博多に送り返されてしまった。4月下旬に計画している由布岳登山では、下山したら絶対に由布院温泉で入浴したいと考えている。