日本は山が多い。「名山」と呼ばれる山も、日本百名山を筆頭に、花の百名山、ふるさと百名山、日本二百名山、同三百名山、北海道百名山があれば九州百名山もある。福岡県にも、登山者に人気の高い宝満山やカルスト地形がすばらしい貫山(ぬきさん)など、いくつもある。その中から歴史にひかれて英彦山(ひこさん)を選んだ。標高も約1200メートルと県内では高い方だ。
英彦山は県の東側、大分県との県境尾根上に北岳、中岳、南岳と三つの頭をもたげている。中岳に英彦山神社上宮がある。出羽の羽黒山、大和の大峰山と並び日本三大修験道場として栄えた霊山だった。英彦山は、天照大神の子、天忍穂耳命(あめのおしほみみのみこと)を祀(まつ)ることから「日子山」と呼ばれるようになった。嵯峨天皇の勅命により「彦山」となり、霊元天皇に「英」の尊号を受け、「英彦山」と書かれるようになったという。
代表的な登山コースは銅(かね)の鳥居から奉幣殿を経て英彦山神社上宮のある中岳に立つ表参道正面コース。銅の鳥居へはJR日田彦山線の彦山駅からバスが出ている。北岳、南岳へもコースがある。
今年の3月12日、「新百名山登山教室」で登った。雪の多い年で、滑り止めのアイゼンを参加者全員に用意してもらった。博多駅前からバスで、北岳登山口のある高住神社へ向かった。標高約800メートル、北岳頂上は1181メートルだから、高度差は約400メートルだ。
コースは北斜面にあって急な石段が続く。そこに数日前に降った雪が氷化して残っているので非常に登りにくかった。軽アイゼンでは氷に歯が立たないので、氷が付着していない岩の乾いた所に、靴底をうまく置いて登っていくしかなかった。クサリが付いた岩場で、安全を期してロープも固定した。
尾根上に出ると雪は消え、足取りは軽くなって北岳を越え中岳に立つ。早々に昼食を済ますと南岳にむかう。南岳が英彦山の最高点で、1199・6メートルの三角点がある。一等三角点。頂上からふり返ると中岳とその上に建つ上宮が見える。そのたたずまいがいい。この山の歴史を感じさせてくれた。氷化した雪で時間を要したが、通常なら高住神社から北岳まで1時間半、中岳まで30分、南岳往復25分、別所駐車場まで下り1時間45分程度と見込んでおけばいい。