比良山(ひらさん)は関西のアルプスと呼ばれることがある。スケールが大きい。琵琶湖の西岸に南北約20キロにわたって連なる。1000メートルを超える山がいくつもある。一般コースはもとより、夏には沢登りが楽しめ、冬には2メートル余の雪が積もるところもあり、きっちり冬山訓練もできる。スキー場もある。アルプスと呼ぶにふさわしい山系である。総称が比良山。ということで主峰である武奈ケ岳(ぶながだけ)をぼくは躊躇(ちゅうちょ)なく新百名山に選んだ。
標高1214メートルの山頂は樹林帯を抜け、笹原をかき登った上にある草地のドーム。360度の眺望が楽しめる山だ。眼下に琵琶湖がひろがり、その眺めが高度感を与えてくれるから、アルプスと呼ぶにふさわしい高山の趣もある。昔は山全体がブナの森だったそうで、それで武奈ケ岳と呼ばれるようになったと聞くが、現在では眺望が魅力の山となっている。
ぼくは2回登っている。ともに比良登山リフトから比良ロープウエーを利用しての登山だった。リフトとロープウエーは04年春に廃止になった。
登ったときは、山上駅から八雲ケ原を通ってスキー場を横切りイブルギのコバに。ここから西に登って山頂に立った。下山はワサビ峠へと西南稜(りょう)を下った。峠から東側に下り、中峠へと登り返す。次にヨキトウゲ谷を下って金糞(かなくそ)峠へと登り返す。峠から北東方向へシャクナゲ尾根をたどって山上駅へと戻った。6時間30分の山歩きであった。
さて、今年の還暦記念登山をどうするか。地図とにらめっこする。登山予定は11月。リフトとロープウエーはもうない。北東側のガリバー青少年旅行村からの往復とすれば、比較的楽に頂に立てそうだ。ちょっと物足りないな、と思う。
頭に浮かんだのは琵琶湖側からのアプローチ。金糞峠を越えて武奈ケ岳に立つ。西南稜から御殿山コースに入って坊村に下ってみよう。バス停近くにある比良山荘に泊まる計画にしておけば、行動に無理が生じないはずだ。
最終バスに間に合うようにと、下山を急ぐと滑ってネンザ、なんていうアクシデントが発生したりもする。ゆっくりが一番。ゆっくり歩きでタイムテーブルを考えて、最終バスに間に合いそうもなければもう一泊増やす。それが安心登山というものだ。