朝日連峰は飯豊(いいで)連峰と並んで、東北山地の雄として知られている。大朝日岳1870メートルは朝日連峰の主峰である。
新日本百名山にはいくつかの想(おも)いを込めている。その一つに「中高年登山者の山岳遭難事故の減少」をめざすことがある。ハードな山は充実感はあるが、体力・技術・装備、いずれもきっちり準備しておく必要がある。ソフトな山は軽いノリで楽しんでいただける。大切なことは、どんな山に、自分がどのようにかかわろうとしているかの認識の有無であろう。
大朝日岳はハードな山だ。JR山形駅の西約35キロに位置。主脈は北へのびて以東岳までの間約15キロ、南北、東西に枝尾根をのばして、山形・新潟両県にまたがって南北60キロ、東西30キロの山塊を形成している。標高1000メートルくらいまではブナの森。ツキノワグマやニホンカモシカも珍しくないと聞く。さらに高度を上げればダケカンバ帯からシャクナゲやナナカマドの潅木(かんぼく)帯となり、森林限界を超えた主脈上には残雪とお花畑がひろがっている。
大朝日岳から以東岳への主脈縦走は、途中無人の山小屋に宿泊するなど山慣れない人には難しいので、一般的にはふもとにある朝日鉱泉か古寺鉱泉から大朝日岳山頂を往復するのが無難であろう。しかし、山深くてふもとに到達するまでに、交通も不便で時間を要する。
朝日連峰には何回も訪れているが、直近は03年7月のこと。7〜8月は左沢から町営バスが朝日鉱泉まで走っているのだが、時間が合わずタクシーで入った。ナチュラリストの家で一泊。鉱泉は鉄分を多く含んでいて赤茶けている。身体には効能がありそうだ。
2日目は中ツル尾根を登る。山頂まで8時間。登りついた山頂は、360度の展望を楽しめる憩いのテラスだ。南には祝瓶山から雄大な飯豊連峰、東に蔵王、北に月山、北西には以東岳へと連なる主脈が手に取るように眺められる。
脚に自信のない人は山頂から北へ15分下り、大朝日小屋に泊まる。寝具、食料を持参する必要がある。3日目に鳥原山経由で下山、朝日鉱泉まで6時間を要した。大朝日岳登山は気軽に薦められないが、ブナの森の自然を満喫できる朝日鉱泉は、万人にお薦めできる。