大雪山は北海道の屋根である。北海道という地域にとどまらない日本を代表する名山だ。広大な大雪山は、表大雪や十勝連峰などの山域にわけられる。山は2000メートル級の高峰群である。緯度が高いので3000メートル級の中部山岳に匹敵する高山性に加えて、そのスケールは国内屈指であることは論を待たない。
東麓(ろく)の層雲峡を筆頭に、愛山渓温泉、旭岳温泉、天人峡温泉など有名な観光地や温泉を擁する表大雪が、最もポピュラーな山域といえよう。主峰・旭岳には旭岳温泉から、黒岳には層雲峡から、それぞれロープウエーを利用して比較的楽に頂上に立つことができる。新百名山としては登りやすいということを理由に旭岳を選んだ。
初めて訪れたのは30年ほど前だ。旭川からバスで現在の旭岳温泉入り。姿見までロープウエーで上がる。11月上旬だった。旭岳は雪で薄化粧している。駅舎から出ると、雪が舞い視界も悪い。早々と登山を断念した。旭岳の頂に立つまでは、それから約20年かかった。旭岳からトムラウシ山まで山中2泊で縦走したのだ。その後、10回近くは大雪山を訪れた。直近は一昨年の6月、姿見から旭岳の往復登山だった。
ロープウエーの駅舎の外には雪原が残っていたが、楽しく歩いていける。ひと登りすれば姿見ノ池だが、半分以上雪に埋まっていて旭岳を映してはいない。空は快晴。見上げれば赤茶けた大きな山、足下には深緑色の原生林が広がっている。背中には雨具とヘッドランプと水筒とオニギリ2個入ったデイパックひとつ。身も心も軽く、ゆっくり登って2時間30分で2290メートルの山頂に到着した。旭岳は大雪山の最高峰でもあるだけに眺望は360度。南側にはトムラウシ山が見え、十勝連峰もそれと指摘できる。北側には北鎮岳と凌雲岳が大きく見える。
下山は往路を引き返すことになるが、火山礫(れき)の斜面だから石車に足を取られないよう、慎重に足を運ぶ。ロープウエーの駅まで約1時間30分だ。
姿見駅周辺は自然探勝路も用意されているので、体力に自信のない人でも大雪の大自然を存分に味わって頂ける。高山植物群の見頃は7月中旬から8月上旬にかけてだという。