登山という趣味を持つ人は、都会の人が多いのであろうか。槍ケ岳(やりがたけ)や白馬岳(しろうまだけ)のように有名な山ならいざしらず、それほど有名ではない山のふもとに生活する人たちには、都会人がなぜその山に登りにくるのか理解しにくいらしい。
以前、茨城県内のそれほど高くない山に登りに行ったときのこと。山にむかう途中、「なにしにきたんですか」と地元の方から声をかけられた。「山登りにきました」と答えたら、「山菜はもうないよ」といわれてしまったのである。
今日紹介するのは岩湧山(いわわきさん)である。大阪府から選んだ新日本百名山だ。大阪在住の山仲間に相談したところ、岩湧山を推薦してくれたのだ。
岩湧山は河内長野市の山。南海高野線紀見峠駅の西北西約4キロに位置している。関西の登山者が目標とするロングコース、大阪、奈良、和歌山の府県境にのびる「ダイヤモンドトレール」の西の主峰としても知られている。
岩湧山を推薦してくれたわが遠足倶楽部の大阪支部長、板谷静代さんに案内されて、6月2日に登ってきた。
大阪は雨。河内長野駅から滝畑ダムまでバスの便があるが、我々はタクシーで登山道入り口にある新関屋橋まで入ってしまった。滝畑ダムバス停から歩いて10分の距離である。
雨具を着込み歩き始める。登山道はよく踏まれていて歩きやすく、この山が多くの登山者に愛されていることがよく分かる。山腹を斜めに登っていき、尾根上に出ると頂上は近かった。展望抜群のはずの頂上は雨で何も見えない。晴れていれば淡路島や、六甲、金剛(こんごう)、台高(だいこう)などの山々も一望できるらしい。
下山は岩湧寺へと向けて、兼松新道を下った。急な下りだが、歩幅を小さくゆっくり下れば心配はない。足下にはピンク色の花が咲いていて、雨の中の登山をなぐさめてくれた。後に、この花はイナモリソウという名前だと教えていただいた。
新関屋橋から頂上まで2時間20分、岩湧寺まで下り1時間、役の小角開山といわれるこの寺で、手を合わせた。我々は、この日、タクシーで下山してしまったが、滝畑ダム湖畔にある民俗資料館前バス停までは徒歩1時間40分の行程である。