ここ数年の活躍がめざましい。日本アカデミー賞の最優秀主演男優賞を2回以上取った俳優は7人しかいない。その中にこの5年で加わった。その俳優が、胸を張って言う。「ホントにすてきな映画になったんですよ」
原作は、本屋さんの店員が選ぶ「本屋大賞」の受賞作。事故で80分しか記憶がもたない天才数学者の博士(寺尾)と、彼の家で働くことになった家政婦(深津絵里)とその10歳の息子との心の交流を描く。本のプロが選んだだけあって、派手さはないが、じんわりと心にしみてくるドラマだ。
小泉堯史監督とは黒澤明監督の下で育った「兄弟」。淡々としたドラマばかり挑戦しても、作品を観客の心に確実に焼き付ける小泉監督を「名監督」と評する。「説明過多は説明不足より伝わらない」。大事なことをシンプルに伝えることが、心にも残り、想像力をふくらませる。そんな映画を作る監督だ。
本作でも、何気ない日常が描き込まれている。登場人物に大きな動きはない。しかし、1人ひとりがくっきりと描かれている。喜び、悲しみ、温もり……。観客は、登場人物と自分を重ね合わせ、何かを感じるだろう。胸に手をあて、力を込める。「ココで感じてほしい」、と。
博士は「今」しか生きることができない。しかし今をしっかりと生きることで、何かが残っていく。瞬間、瞬間を正直に生きてきた、寺尾自身に重なるようだ。
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1月21日(土)から、全国松竹・東急系で公開。右は共演の深津絵里。
©「博士の愛した数式」製作委員会。
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