■爽快だった、殺陣
勝新太郎や北野武によって、幾度となく演じられてきた「座頭市」。盲目の逆手居合い斬(ぎ)りの達人・市を、曽利文彦監督が大胆な解釈でリメークし、最強の剣豪を女としてよみがえらせた。偉大な俳優たちが演じてきた役柄にプレッシャーもさぞやと思いきや、「殺陣、楽しかったんですよ」と穏やかに微笑(ほほえ)む。初めての時代劇に気負いはない。
「斬って、倒して、また斬って。そのタイミングがピタッとあったりするとすごく気持ち良くて」。スクリーンで見るその動きは、流れるように美しい。「体を動かすの、好きなんです。バスケ部でしたし。小学生の頃はよく、この川をジャンプできるかみたいな遊びをしてました。で、跳んでみては大体ひざとかにケガを作って帰る、みたいな子でしたね」
■自分との共通点を探す
感情を抑えるタイプの市は、自分に似ていると感じた。「誰にでも、人に心を閉ざしたり、何かを抱えていたりすることってあると思うんです。その部分がすごく強調されているのが、市なんですよね」。作品に入るときはいつも、役を作るのではなく、自分と役柄との共通点を探し、そこからイメージを膨らませていくのだという。「だから、後半の、わーっと感情を出す場面の演技は難しかったです。私は、感情を抑えることはあっても、一気にぶわっと出すことはないので……」と振り返る。
■できる女を演じてみたい
今後演じてみたいのは、「仕事ができる女性」。「まだ、年齢的にキャリアウーマンを演じるのは難しいかもしれないですけど、バリバリ仕事をして、後輩も指導しちゃうような役もやってみたいんです(笑い)」。作品ごとに、それまで演じたことのない役柄を求めてきた。「毎回同じような役だと自分に飽きちゃう。監督から、こういう自分もいるんだなっていうのを引き出してもらうのが新鮮で、楽しいんです」。女優・綾瀬はるかのいろんな演技をもっと見せてほしい、見てみたい。力まず、ゆったり、でも真っすぐに。ちゃめっ気のある瞳で、ふわりと笑った。
(インタビュー・文/渡部麻衣子)
『ICHI』
三味線を背負い、人との関わりを避けながら一人旅を続けてきた市(綾瀬はるか)。盲目ながら居合いの達人でもある彼女は、とある宿場町で浪人・藤平十馬(大沢たかお)と出会う。ひょんなことから、宿場を仕切る虎次(窪塚洋介)と宿場荒らしの悪党・万鬼(中村獅童)との争いに巻き込まれ、市の運命は大きく動き始める。目の不自由な旅芸者たちの集団から追い出された“離れ瞽女(ごぜ)”を主人公に、その内面を描いた。

共演の大沢たかお(左)
© 2008 映画 「ICHI」 製作委員会 10月25日(土)全国公開
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