「作品の中の人物に、見ている人が自然に引き込まれてくれればそれでいい。私の名前と顔を一致させてもらいたいとか、全然思いません」
人気や知名度よりも、演技で感動させられる一女優でありたい。きっぱりとそう話す口調から強いプロ意識がにじむ。初めて出演した戦争映画「真夏のオリオン」でも、「男の人たちがカッコよく見えなくちゃいけない映画。私はちょっとしたスパイスになればいい」と意識して撮影に臨んだという。
舞台は第2次世界大戦末期の沖縄南東海域。米海軍の駆逐艦と息詰まる攻防を繰り広げる日本海軍の潜水艦内部を描いた、「男たちの物語」だ。劇中唯一の女性として、艦長・倉本孝行の帰りを待つ有沢志津子と孫の倉本いずみの二役を演じた。
志津子が登場するのは、折々に挿入される倉本との回想シーン。「潜水艦の撮影風景を実際に見られなかったので、合間に入るシーンを演じるのは難しかった」と振り返る。物語の世界に溶け込むことを心がけ、しゃべり方やもんぺをはいた時の歩き方などは、戦争映画を見たり年配のスタッフに教えてもらったりして研究。控えめだが芯の強い「昭和の女性」になりきった。
ここ数年、テレビに映画にと活躍の幅を広げているが、「私は役者を始めた年齢が遅いし、実力はまだ全然伴ってない。周囲の人や仕事に恵まれたおかげです」と冷静に分析する。女性らしい外見とは裏腹に、仕事に対するストイックな姿勢は「男前」と呼びたいほど。だが愛猫について話を向けると「猫と寝ている時は最高です!」。愛らしい無邪気な笑顔をのぞかせた。
取材・文/伊東 絵美
撮影/黒澤 義教
|
左は共演の玉木宏
6月13日(土)から全国公開
©2009「真夏のオリオン」パートナーズ
|