横浜美術館を運営するために、おじいちゃん、おばあちゃんから生まれたばかりの赤ちゃんに至るまで、横浜市民は毎日ひとり1円ずつ払っていると聞いたら、皆さんどう思いますか? 近年、予算が大幅に削減されてきたのでいまでは1円を割っているが、2、3年前までは、人件費、光熱費を含めて1日当たり350万円ほどかかった。横浜市の人口は約350万人。だから、ひとり当たり1円ということになる。これが文化・芸術の値段というものなのだろう。この1円が高いのか安いのか、私にもピンとこない。年間の光熱費が1億5000万円といった方が理解しやすいかもしれない。
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| 横浜美術館 |
横浜美術館に来てよくわかったことは、当然とはいえ、このまちでは文化や芸術が予算上福祉や清掃とまったく同じテーブルの上にのっていることである。私はこれまで国立と県立の美術館で仕事をしてきた。横浜美術館は正確に言えば財団法人の運営であるが、経費の大半を横浜市からの補助金に頼っている以上、実質的には「市立美術館」である。国立の老人ホームや保育園はないのでは。県立のごみ処理場はどうだろう。私の2人の娘は保育園のお世話になった。老人福祉がいかに重要かも実感している。市民生活を支える市の予算の中で、美術館もまた市民生活にとって欠かせないものであることを理解してもらうのは、とくに不況下においては容易でない。美術館は役に立つところ、楽しいところということを、しつこく訴えていくほかはない。
(横浜美術館館長 雪山行二)