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美術館の「倒産」 ひとごとじゃない
 美術館も生まれた時は皆に祝福される。前途は洋々。銀のスプーンをくわえて生まれてきたかのような気になる。ところが10年たつかたたないうちに、金食い虫のドラ息子のように言われ、揚げ句のはては勘当ということになる。

 いまがけっぷちに立たされているのは芦屋市立美術博物館だ。昨年10月末、兵庫県芦屋市は大胆な行政改革実施計画を発表した。美術博物館については民間委託を検討し、05年度末までにそれが実現しない場合は、売却または閉館するというのである。これまでにも民間経営の小規模美術館の閉館は続いていた。デパートが運営する「美術館」はすでに大半が姿を消している。しかし、税収減を理由に公立美術館が閉館するという話はきいたことがない。

芦屋市立美術博物館存続に関する話し合い
美術関係者が出席した芦屋市立美術博物館の存続についての会合=昨年11月、神戸市のギャラリーで
 芦屋といえば関西のお金持ちが住むまちというイメージが強い。ひと昔前までは美術の大コレクターも数多く住んでいた。戦後日本の前衛美術運動をリードし、国際的評価も高い「具体美術協会」が拠点としていたまちでもある。市立美術博物館も「具体」の作品収集と紹介には力を入れていた。阪神大震災のダメージが大きかったことはわかる。だが、そのことを除けば、「国際文化住宅都市」を自負する芦屋市は美術館を運営するための条件が整ったまちのように見えた。芦屋市立美術博物館が閉館することにでもなれば、それは全国の公立美術館・博物館に雪崩(なだれ)現象をひき起こすことになるだろう。他人(ひと)ごとではない。

(横浜美術館館長 雪山行二)

〜2004年1月15日付 朝日新聞(東京本社)夕刊「マリオン」から〜

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