今年の正月は2日に、上野の東京国立博物館に行ってみた。猿のお面がついた「博物館に初もうで」というポスターを目にしたからだ。正門を入るとすぐ、池の手前で威勢のよい和太鼓の演奏があり、その後は猿まわしだ。このお猿さん、いくら仕事とはいえ新年早々はしゃぐ気になれなかったのか、ちょっと元気がなかったが、それでもお天気に恵まれて、こちらも華やいだ気分になった。1月3日は筝曲演奏、4日は獅子舞、さらに新春落語会も開かれたと聞く。
この博物館もずいぶん変わったものだと内心思う。10年ほど前までは、暗くてダサく、そのうえ旧帝室博物館ということを鼻にかけ、どことなく威張っていた。それがいまでは来館者サービスに徹している。その原因のひとつは、約3年前に国立の美術館・博物館が独立行政法人に移行し、採算性が重視されるようになったことにある。そのためには入場者をふやさなければならない。支持層を広げる必要がある。昨年秋には「煌(きらめ)きのダイヤモンド」なる展覧会を開催し、ご婦人方の人気を博した。これも新戦略の一環なのだろう。
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| 猿舞座の出し物に喜ぶ人々=1月2日、東京国立博物館正門内池前で |
これまで日本の国公立の美術館・博物館に経営という意識が希薄だったことを思えば、これは大きな前進である。「メトロポリタン美術館を経営することはゼネラル・モーターズを経営することと同じだ」という同美術館ホービング前館長のことばも現実味をおびてくる。われわれも、お猿さんも、今年は頑張らなくてはならない。反省!
(横浜美術館館長 雪山行二)