近ごろ美術館関係者の会合で必ず話題にのぼるのが「指定管理者制度」である。昨年秋、地方自治法が改定され、公立の美術館等の運営は民間企業やNPO(非営利団体)に全面的に委託することが可能になった。今年1月15日付の本欄にも記したように、兵庫県芦屋市は財政難を理由に市立美術博物館の運営を民間委託することを決め、06年3月までに委託先が見つからない場合は、同博物館を売却もしくは閉館するという。実は、これも「指定管理者制度」の発足と密接にかかわっている。
この制度を肯定的に見るならば、運営を自治体内部の一部局、あるいは自治体の作った財団等に一任することをやめ、外からの新規の参入を認めることによって、活性化を図るということなのだろう。
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| 全国美術館会議第53回総会が開かれた岐阜県多治見市のセラミックパークMINO |
一方、否定的な面も無視することはできない。この制度は本来、採算性、サービス、アイデア等の面で競争を促すことを目的としている。もし採算性を優先させて「指定管理者」を決めるならば、活動の質的低下を招くことになりかねない。それは設置者の責任放棄ではないか。美術館の活動は教育と同様、いわば未来への投資でもある。結果が出るには時間がかかる。当事者として我々が今なすべきことは、明確な中長期ビジョンを掲げ、社会に対して常に説明責任を果たすことだと思う。
先週6月3日、岐阜県多治見市で全国美術館会議(約340館加盟)の第53回総会が開かれ、「指定管理者制度研究部会」の設置が承認された。
(横浜美術館館長 雪山行二)