言葉の裏の「思い」
たくさんの会社の研修をしてきて、「『思い』が伝わっていないなあ」とつくづく感じる。例えば、ある製薬会社の社長は、家族を病気で亡くしたことで、「この世から病気をなくしたい」と会社を設立した。けれど現場になれば、「今月の売り上げはどうなった?」に変わってしまうことも。
わが社も同じ。27人がお金を出して、「志のある人間を作る」という思いで作った会社なのに、「今月の売り上げ」の話になったりする。企業だから利潤の追求は当然だけれど、やっぱり最初の「思い」を忘れるとダメだなあとしみじみ思う。
何よりも、「思い」がしっかり伝わっていないと誤解をまねく。今思うと、親は「少しでも人生の選択肢が増えるように」と、思っていたのだろうけれど、ただ「勉強しなさい」と言われるだけで、親がとってもうっとうしかった。
そんな話をしていると、友人である雑誌の編集長が言った。「部下にもう少し考えて、良い原稿を作ってもらいたくて、『もう一回、考えて練り直してみて』と言ったの。そうしたら、『編集長はいつも原稿にケチつけるんですね。だったら、できたものにケチをつけるんじゃなくて、最初から良い方向に進むようにきちんと言ってください』と、言われてしまったよ」
ちょっと、寂しそうだった。そして、こう言った。「『思い』って、伝わっているようで伝わってないね」。「思い」が伝わらないから「こんなに考えているのに、どうして分かってくれないんだ」と、落ち込んでしまう。逆に「思い」が伝わって、相手が自分の望むように動いてくれると、こちらまで、うれしくなって元気になる。
自分の考えを語るのは面倒くさいし、「言わなくても分かっているはず」と思いがち。けれど、人には伝えなければ分かってもらえないこともいっぱい。しっかり、「思い」を伝えるって大切。
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| 題字・イラスト ながた かず |