違い認め、関係築く
人の価値観なんて様ざま。みんな一緒だと思うから、違いを感じると腹が立つ。「へー、こんな価値観もあるんだ」と素直に認めると楽になる。
私は、22歳から25歳まで働いた吉本興業という会社で、たくさんの人の価値観を見せてもらった。そこで自分のキャパシティーを広げてもらったことが、一番の財産だと思っている。
芸人さんの中には、いじめにあっていた人もいれば、親が事業に失敗した人もいたし、親に捨てられた人もいた。「いじめられたくないから『いじめるやつを笑わせよう』と思って真剣に考えていたら、笑わせる楽しさにはまった」という人もいた。「勉強ができないおれが世間を見返すには、芸人の道しかないと思った」という人も。
芸人さんの奥さんたちは、もっとすごかった。「浮気をしても、愛人を作ってもいいわよ。売れなくなった夫を見るのが一番つらいわ」と笑って言う人もいれば、「女性関係も芸のこやしになるのなら、こそこそしないで、すべての彼女を私に紹介するように言ってあるの」と言う人もいた。
吉本興業を辞めて起業した私は、もっとたくさんの価値観に巡り合った。仕事よりも子どもが大切だから、パートで働きたい女性。「家庭よりも仕事を取りたい」と、多額のお金を払って離婚したベンチャーの社長。「しがらみを持つのが嫌」と、社員でなく派遣で働き続ける女性。
吉本興業でのベースがなかったら、理解不能な考え方にも巡り合った。でも、人の価値観を認められるほど、いい関係が築けることが分かった。けれど、「私はそんな価値観の人を認められない」という人も多い。そんな場合は、その人に近づかないことがベスト。それが上司や部下や家族の時は、その人の価値観を認めた上で、一定の距離を保つことも大切。人にイライラするのが、一番、時間がもったいない。
 |
| 題字・イラスト ながた かず |