前回で書いた巨大ナメクジについて、大変好評(?)を頂いたので、今回はもっと詳しく書きます。それにしてもみなさん、けっこう好きなんだから、気持ちわる〜いとか言いながら。
「あれ」に遭遇したのは田舎暮らしを始めて2年目の夏。夜、仕事から帰って玄関の前に立った時のことだった。足元に、なんだか妙な物体があるのが視界に入った。腰をかがめてよく見ると、濡(ぬ)れたように光っていた。
玄関前のアプローチの白い石も、庭の土も、みんなしっとりと湿っている。木の枝先からは、時折まだ雫(しずく)が落ちていた。今日も夕立が降ったのだ。そうか、その雨をもらって、こんな所にキノコが生えたのだな。私は単純に、目の前で月明かりを受けキラキラ光っている楕円(だえん)形の塊を、すっかりキノコだと決めつけてしまった。だってそっくりだったんだもん。サイズは大きめのなめこみたいで。それに山では雨がたくさん降ったあと、庭の芝生の中にキノコが突然ニョキニョキ生えることがよくあるのだ。
家に入ってお茶を飲み、ひとごこちついてから、私はホタルを探しに再び外に出た。悲劇はその時起こった。玄関を出るなりスベッてコケたのである。必死でドアノブにしがみついたのでお尻は無事だったが、足をひねって痛めてしまった。なんでこんなところで?と思いながら下を見ると、あのキノコがさっきと違う場所で、違う形になっていた。しかも、なんだか動いてるー!!
私に踏んづけられて相手も驚いたのだろう。今まさに、体勢を立て直そうともがいているところだった。とぐろを巻いた状態から漢字の「一」の字へと、じんわり変身し始めた。
これはキノコじゃなくて、ヘビの子ども? ここに至っても私は、まだ相手の正体を理解できないでいた。長さ20センチ、胴回り5センチもある生き物を、どうしてナメクジだなんて思えるだろう。
だが結末はやってきた。すっかり伸びきった胴体の先に、ニョキッと目が出た瞬間に……。
私がどれほど驚愕(きょうがく)したかご想像いただけるだろうか。本当に自然界にはとてつもない生き物が存在する。
(タレント・エッセイスト)