イギリス環境教育のリポートの続き。首都ロンドンを出発した私たち撮影隊は、ウェールズに向かった。車で西へ5、6時間田舎道をひた走る。少し北上するせいか、気温が徐々に下がってきて、足元が寒い。窓を小雨がパラリとなでる。見上げる空はどんよりとくもり色。いよいよこの地方らしい天気になってきた。
道の両脇には、広々と牧場が続いている。そこには空に浮かぶ雲と同じ色をした羊たちが群れ、のんびり昼寝をしていた。自前のセーターを着ているので、こんなときも寒さ知らずのようだ。面白いのは、彼らから付かず離れずの場所に群れているキジ。日本でつがいにしか会ったことのない私には、これがとても新鮮に見えた。親子なのかカップルのご一行さんなのか。広々した牧草地にたたずんでいた。
以前は、ずっと森林だったはずのこの辺り。人が開拓し、この景色を作った。今も牧場の周りに森はあるが、私としてはもっと残してほしかったとも思う。所々に小さくかたまっている緑の木々。あの森とあの森の間の牧草地に木を植え緑の渡り廊下を作れば、野生の動物たちは自由に行き来することができるのに。道路を渡ろうとして、車にひかれることも減るだろう。
景色はどんどん山へ近づいていく。やっとたどり着いたのは、ヨーロッパで人気の自然公園。自然をそのまま利用して自給自足の生活が再現された施設だ。ここの名物は急な斜面を上下するケーブルカー。動力にガソリンも電気も使っていない。車体に水タンクが備えつけてあって、上の車に水を注入すると、重さで下に下りてくるという仕組み。互いがロープでつながっているから、下の車は自動的に上に上っていく。すごく単純だが、なんと気の利いた乗り物だろう! この施設は、風力、太陽光、波力で電気も作っているという。ガイドをひきうけてくれた女性は目をキラキラさせて「地球上のものは人間も含めてすべて循環しているのです」と笑った。大きな愛に生きる人は美しかった。
実はここの景色、私の家の周辺とよく似ている。飛行機と車で片道20時間もかけて、同じ景色の場所に来たとは。私はよくよく田舎と縁があるらしい。
(タレント・エッセイスト)