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うふふナチュラルライフ

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仲間と蕎麦打ちコネコネ思う     

     心が心らしく動く田舎暮らし

イラスト
イラスト・さかいひろこ

 今年も新蕎麦(そば)が取れたところで、恒例の蕎麦打ちをした。一反ほどの広さの蕎麦畑を、夏からずっと体を張って、種を蒔(ま)いたり草取りをしたり面倒を見てきた仲間5人が集まり、自分の好きな場所に陣取ってはコネコネ始めた。ある者はビニールハウスの中、ある者は地面にシートを敷いて、またある者は小屋のトイレの前と、とにかく平らでスペースがある場所ならどこでもコネコネしてしまう。すでに全員経験者で自分のスタイルというものがあり、誰に教わるともなく勝手に蕎麦打ちに熱中している。

 大の大人がそんな風にしている姿はなかなか愛らしい。小さな子供のころ、一心不乱に泥だんごをコネコネしていた姿とイメージがダブっていく。結局みんなずっと子供なのだ。世の中で言う“大人”というものに、上手になれなかった、いや、あえてならなかった人間たちがこの田舎に集まったのかもしれない。でも大人になりきれないことは幸せだ。同じ趣味を絆(きずな)に、おじさんとか、おばさんとか、お姉さん(私のこと?)などとかいう小さな区別など簡単に飛び越え、バカになって同じ楽しみを分かち合っている。

 田舎暮らしもこの冬で6年目に入る。東京に帰りたくない? と聞く人もいるが、私はすでに、都会は仕事の場所と割り切った。田舎で同じことを繰り返していて退屈じゃない? と心配する人には、こう答えている。

 確かに都会で忙しくしていた時は、いつも新しい刺激があって楽しかった。でも田舎で農作業を軸に、同じ季節、同じことを同じサイクルで繰り返し暮らすうち、繰り返すことそのものが人間には必要なんだと感じるようになっている。

 外側から刺激が与えられる環境にいた時は、それに反応するだけで生きていかれた。出来事にうまく対処すればいい。心がまるで反射神経にでもなったようだった。でも繰り返しの生活の中では、与えられない分、自分から想像力をたくましくしていかないと退屈に負けてしまう。そうしているうちにいつのまにか、いつも心の中で何かを想像することが癖になった。好奇心がうずいて、もう退屈している暇が無い。蕎麦の芽を見てジーンとするのは、反射神経でなく心が心らしく動けるようになったからなのだ、きっと。

(タレント・エッセイスト)

(2003年12月10日朝日新聞東京本社夕刊のマリオン紙面から)

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