今日もポッキーちゃんのお散歩である。明日もポッキーちゃんのお散歩である。あさってもやっぱりお散歩である。犬を飼うって大変。大雪でも彼女は時間になると、しっぽをいそいそ振って「もう行く? 行く?」と玄関の前に座っている。その顔を見ると、とてもお断りはできないのであった。
連日の雪は道の両端により深くたまり、中間にはアイスバーンを作っている。日中でも気温が2、3度までしか上がらない日は、通行する車でさえも滑ってお尻を振りながら走るのだった。
一方、犬のポッキーちゃんは雪を見て大興奮だ。意味もなく跳びはねては、わざと深く積もった所にもぐりまくる。それは犬というより馬の走り方のようで、パッカパッカと調子づいては綱を突然引っ張るので、私は足を滑らせてアイスバーンに尻もちをつくのだった。座骨に走る激痛にうめいた瞬間、なぜか頭の中にはシブがき隊の“NAINAI16”のメロディーにのって、こんな歌が流れた♪バンバンバン! ア・イ・ス・バーン!♪音楽というのはなるほど、身近な出来事から生まれるものなのだった。
だが、今日のお散歩は痛み以上に楽しみも待っていた。昨晩、温泉に浸りながら友人が話してくれたこと。白い雪に残された動物たちの足跡を見に行くのである。そこは、いつものお散歩コースのすぐそばだった。周りと比べ、やや規模の大きな雑木林の中を駆け回る小さな小さな足跡たち。それは、木の葉や草が茂る季節では見つけられない生き物たちの存在を確認させてくれるもの。葉陰に上手に潜む彼らも、雪の上の足跡までは、さすがに消せないのであった。たどりたどり歩くうち、ああ、まだ生きていたんだと胸が熱くなってくる。
長細い2本の足跡の間に小さな丸が二つ並んでいたら、野ウサギ。ずいぶんあちこち走り回った様子がよくわかる。とてもちいちゃな楕円(だえん)が四つはリス。木の根元で足跡が消えたのは、登って遊んだから。しっぽをひきずった跡もあった。長い指の足跡はキジだ。エサを探していたのか、雪をひっかき回していた。懸命に生きる生き物を想像することは、自分の命を思い出すことでもあった。幸せな気分である。
(タレント・エッセイスト)