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うふふナチュラルライフ

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虐待する親は子供時代に何を見た?     

     自然葬った「力の意識」との関係は?

イラスト
イラスト・さかいひろこ

 私が生まれたのは昭和37年。時は高度成長期まっただ中で、経済は右肩上がりのグラフを描き続けていた。共働き家庭が増えることを見越したうちの両親は、当時ではまだ珍しかった個人経営の託児所を開業。これが当たり、仕事はどんどん忙しくなっていった。両親だけではなく、私の周辺の大人たちは誰もが皆、忙しそうにしていた。

 なぜこんなことを書いているかというと、実は最近とても気になるニュースがあるからだ。親による子供の虐待事件である。この痛ましいニュースは、今では毎週のように報道されるようになってしまった。仕事柄、嫌でもそのことについて考えなければならないのがつらい。

 何度も目にするうち、子供を虐待する親の年齢が私とそう離れていない場合が多いことに気づいた。なぜだろう。よく聞く話では、子供を虐待する大人には、その子供時代に原因があることが多いという。そこで、自分の子供時代を振り返ってみた次第だ。

 大人が忙しそうにしている頃、子供たちも同じように忙しくなっていたと思う。学習塾という言葉が当たり前に聞かれるようになり、学校が終わるとそのまま塾へ走っていく子供が見られるようになった。教育ママなんてこともよく言われていたな。カギっ子と呼ばれる子供も増えて、実は私もその一人だった。経済成長にあわせるようにしてみんながみんな忙しく生き始め、子供までが急いで大人にならなければいけない時代になっていったのではなかったか? 子供時代をゆっくり味わえなかったことが、大人になってからの虐待行為に何か関係しているのだろうか。

 同じ頃、周囲にわずかに残っていた自然もどんどん姿を消していた。原っぱは、ある日突然ブルドーザーがやって来たかと思うと、あっという間に宅地に変えられてしまった。木々はチェーンソーのとどろきと共にバキバキッと音をたてて倒されゴミになった。その光景を、あの時代の子供たちはみな目に耳にしてきたはずだ。その残酷とも言えるような人間の力と、虐待する大人の振り上げる腕とのあいだに、私は何か共通する“力の意識”を感じてならない。私たちが見てしまったものは、この心に何を残したのだろうか。

(タレント・エッセイスト)

(2004年3月17日朝日新聞東京本社夕刊のマリオン紙面から)

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