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2005.7.7(木)更新
三池崇史のシネコラマ

 第13回 「心の中の正直な思い」
 新作の撮影が始まりました。刺激的でクラクラするシーンの連続。魅力的な役者とスタッフに囲まれて毎日がワンダーランド。やっぱ撮影現場は面白いですわ。撮るって行為は狩りと同じ。胸の奥から元気がドロドロ湧(わ)いて来て、前頭葉がすっきりクリアになりまして、体中の関節がパキパキ動くのです。
 「俺(おれ)もまだまだいけるじゃんよ」
 でもね、関節はいいんです。いいんだけど、さすがに筋肉と目が……と、腹にたまった油とアルコールがちょっとね……。

   ■     ■   

 「やっぱ映画監督は若さがキモですわ」
 だって考えてみて下さいよ。あなたの好きな映画はなんですか?
 「それって監督が、どこの国の誰であれ、その人が30代または20代の作品でしょ? 『宇宙戦争』より『未知との遭遇』いや『激突!』でしょ。『まあだだよ』より『七人の侍』でしょ。違いますか?」

   ■     ■   

 あ、いや、完成度の問題ではありませんよ。とてつもない才能がフィルムに焼き付く瞬間を劇場で目撃する感動。つまり、映画の本当の魅力である「奇跡を体験する」喜びの問題を問うているのです。人は映画に完成度よりも可能性を求めているのではないでしょうか。下手でもいいから凄(すご)いものを求めているのでは……て、ごめんなさい。
 「調子に乗って言い過ぎました」
 でもしかし、これって私の本音なんですよ。映画監督(もどき)として45歳になってしまった私の心の中にある正直な思いなのです。
 その影響でしょうか。最近、「子供(子役)」に芝居をつけているときに、なんだか幸せを感じるのです。彼らの可能性を借りれば、まだまだ大きな獲物を仕留めることができるような気がするのです。あぁ、他力本願。

(2005/7/7)

みいけ・たかし

 60年生まれ、大阪府出身。今村昌平、恩地日出夫監督らに師事。95年「新宿黒社会」で劇場映画監督デビュー。「岸和田少年愚連隊 血煙り純情篇」(97年)、「ゼブラーマン」(04年)など、ジャンルを超えた話題作を世に送り出す。現在、05年夏公開予定の「妖怪大戦争」を製作中。

 

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