映画は素人でも作れるが、テレビはプロしか生き残れない。バラエティーは職人たちの独壇場だ。ごく稀にそんな場に放り込まれ、オロオロする自分がいる。
■ ■
「どんな段取りで?」
スタジオの裏。ペラ2、3枚の進行表を手にした私はADさんに問いかけた。
「一応流れはそこに書いてある通りです。でも、尊重していただかなくてもいいですから。流れでよろしくお願いします」
「は?」っと目が点になった瞬間、スタジオが大きな笑いに包まれた。ナインティナインの岡村隆史、矢部浩之、両氏の軽妙なやり取りが聞こえる。
「て、もう収録始まってるんですか?」
「2人とも三池さんがいらっしゃることを楽しみにしてらっしゃいましたよ」
「いや、そうじゃなくて……」
「間もなく呼び込まれますから、そのドアから中にお入り下さい」
「え、あ、はい。……ちょっと聞いていいですか?」
「何でしょう」
「このドア、引くのかな?」
「押してください」
「あ、押して入るんですね。で、その後は……」
「トークです。その後、岡村さんのビデオを見ながら何かあったら好きにコメントして下さい。ビデオが終わったらまた話していただいて、2人が送り出しますからここに戻って下さい」
「帰りのドアは……」
「押しても引いても結構です。好きにして下さい」
「あの、中に入ったらどこに立てば……」
その時、スタジオの中から声がかかった、「それでは今日のゲストをお招きしましょう。映画監督の三池崇史さんです」。
■ ■
盛大な拍手の中、子羊のように従順な私は言われた通りドアを押した。このような環境の中で、笑いと視聴率を勝ち取る職人たちに敬意を表す。