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2005.9.15(木)更新
三池崇史のシネコラマ

 第22回 「趣味」
 すっごく当たり前のことで恐縮ですが人生には様々な出会いがあるわけです。
 「いやいや初めまして。私は……」
 マニュアル通りの差し障りのない挨拶(あいさつ)と愛想笑い。
 「ということで、よろしく……」
 「あ、いえ、は、こちらこそ……。ハハハ……、ハ、ハ、……ハァ」
 と、ちょっと気まずい沈黙が訪れるパターンが多いわけです。沈黙って怖いよね。落っこちてしまいそうなその隙間(すきま)がなぜか凄(すご)く怖い。だから、それの隙間を埋めたくなるわけです。で、ついつい、「あなたは休日をどのように過ごしますか?」となっちまうわけです。ね、誰でもよくそう問われ、問うでしょう。

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 「ご趣味は?」と、昔の映画のお見合いシーンで観(み)たような間抜けな展開が訪れるわけです。
 「ごめんなさい。私、趣味なんてございません」なんて言っちまったら間違いなく破談です。隙間が怖くて、それを埋めるための応急処置だったのに、間違いなく終わりです。……怖いですね。幸せになるためには趣味が必要なんですね。

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 で、「電車」が趣味の天才子役・神木隆之介くんとベネチア映画祭に行ってきました。道中、神木くんは新しく撮った電車の写真とビデオを自慢げに見せてくれた。
 「ホームの先っちょに2時間粘って撮ったんだ。凄いでしょ」
 私にはただの電車にしか見えないが彼にとっては宝物らしい。そして「妖怪大戦争」が上映された劇場は日本映画が趣味という外国のお客様のおかげで大いに盛り上がった。価値ある物かゴミなのか、個人の趣味によって景色が変わる。
 しかし私は、「撮影現場で我が身に降りかかるアクシデント」だけが楽しみという哀(かな)しい男でございます。あぁ、何か趣味でも始めようかな。

(2005/9/15)

みいけ・たかし

 60年生まれ、大阪府出身。今村昌平、恩地日出夫監督らに師事。95年「新宿黒社会」で劇場映画監督デビュー。「岸和田少年愚連隊 血煙り純情篇」(97年)、「ゼブラーマン」(04年)など、ジャンルを超えた話題作を世に送り出す。

 
 バックナンバー 

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