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2005.10.20(木)更新
三池崇史のシネコラマ

 第27回 「ロケハン」
 「フィルム・コミッション」という言葉を聞いたことがありますか? 私も正確な定義は知らないのですが、県や市町村単位で映画やテレビの撮影のために管轄地域内で便宜を図り、「互いに明るく健全な未来を育んで行きましょう」という有り難い組織。それが全国的に広がっている……、ようなのです。

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 ようなのです、ってのは映画と地域のために苦労なさっている担当者の方に失礼なのかも知れませんが、実際のところ私の感覚としてはそんな感じです。だって「明るく健全な未来」のための組織でしょ。てことは、「暗く病的な未来」を主に描いている私のようなB級監督には屁(へ)の突っ張りにもならないわけですよ。
 「いやぁ、そういう内容ではウチとしてはちょっと協力できないんですよ。もう少しいい話ならいいんですけどね」
 「えっ? この台本って美しい話じゃないですか。だって極道にもなれない半端者の若者が、愛する彼女を売り飛ばして宝くじを買ったら、なんと前後賞合わせて3億円当たっちゃって一気に衆議院議員にのし上がっちゃうって話ですよ」
 「……」
 「そんな若くて未熟な男と女が暮らしたシミジミ系のアパートを探しています。ご存じないですか?」
 「はぁ、図書館であるとか美術館ならご紹介……」
 「そんなシーンは私の映画には出てこないです!」
 「お引き取り下さい」

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 かなり分かりやすく表現するとこんな感じのズレがあるわけです。悲しい。しかし嘆いても映画は出来上がらないのでコツコツ自分たちの足で探すのです。それをロケーションハンティング(ロケハン)といいます。あなたの街を徘徊(はいかい)して写真を撮ってる不審な集団を見かけたことがありますか?それはたぶん映画屋さんです。優しくしてあげてくださいね。

(2005/10/20)

みいけ・たかし

 60年生まれ、大阪府出身。今村昌平、恩地日出夫監督らに師事。95年「新宿黒社会」で劇場映画監督デビュー。「岸和田少年愚連隊 血煙り純情篇」(97年)、「ゼブラーマン」(04年)など、ジャンルを超えた話題作を世に送り出す。

 
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