かけがえのないもの、と言ったらこれはもう「家族の健康」が一番です。
役者は続ける気さえあれば、幾つになってもリタイアのない、その年齢なりの表現をしていける素晴らしい仕事です。もちろん一生、身体が動く限り続けていきたい。俳優業は私にとって呼吸をするのと同じ位に、生きている事そのものなのです。
が、その幸せは家族の健康に恵まれてこそ。両親も義母も健在で、2人の息子も本当にいい青年にすくすく育ってくれました。家族と助け合い、支え合い、寄り添って、平穏に過ごしていく毎日。当たり前のようで、ありがたさも忘れてしまいがちですが、こうして「かけがえのないもの」というテーマでコラムを書かせて頂く機会を得て、ふと立ち止まって自分の日常を考えてみると、なんて私は幸せなんだろうと、しみじみ実感します。
サッチモの「この素晴らしき世界」を先日のライブで初めて歌いました。木々の緑、赤いバラ、空の青、白い雲、虹、人々の笑顔、愛、子供達の成長、ああ何て世界は素晴らしい……、というこの歌。1人で練習していても何度も涙が出そうになりました。
この何でもないような日々の人の営みのいとおしさ。それすら守る事が出来ない人達が今もいる事から目をそらしちゃいけないなとも考えています。
〈女優〉
(2006年9月21日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)