今月上旬、東京・北青山のギャラリーで、「折り顔」の個展を開いた。前回からはもう7年ぶりになる。「折り顔」とは私の造語で、人面を折り紙で表現する。紙の質感や色合いによって、実に様々な表情を醸し出す。
小学校の頃、折り紙作家の河合豊彰さん(成人してから突然彼を訪ね、教えを乞(こ)うたこともある)の般若の面に魅せられ、折り紙が大好きになった。鶴や風船、奴(やっこ)さんなどの古典的な伝承折り紙も情緒豊かなものだが、自由に折って試行錯誤ができる創作折り紙の魅力は格別なものがある。
大阪芸大でデザインを学んでいたときには、大きな紙が周りにたくさんあったので、いつしか「折り癖」が身に付いていた。元々、人の特徴を観察、抽出するのが得意であったせいか、生きた人間の顔を折ることが楽しく、気が付けば、もう何度も個展を開くようになっていた。
私の折り紙のルールは単純で、「正方形の紙を、切り込みなどの手法は使わず、折るだけ」というものだ。これは、俳句の「五七五で、季語を入れる」という単純なルールで無限の表現が生まれることと似ているかもしれない。ほんの少し切り込みを入れて絶大な効果が出るならそれもいい、という人が多いが、これは好みの問題だろう。俳句にも自由律があるように。
ギャラリーの方も驚くほど大勢お越し下さり、喜びに耐えない。来年には大阪でも開く予定。今から楽しみだ。
〈タレント〉
(2006年10月12日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)