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2006.12.14(木)更新  なまねた

 
 テーマ「まとまった休みがあったら」

松尾貴史
屋久島で「自然を畏れる気持ち」
 私にとっては、「まとまった休み」と言えば、1〜2カ月だ。欧米か。嘘(うそ)をついた。本当は3、4日だ、申し訳ない。つい先日、やっとその3、4日の空き(取材目的ではあるが)が取れたときのことを紹介しよう。世界遺産のある屋久島へ行って来た。最近はやりのスピリチュアルなイメージがつきまとう縄文杉やその他の自然環境を、是非体験しておきたかったのだ。

 民宿をガイドさんと朝の4時半に出発し、途中で予約しておいた朝食と昼食用の握り飯を受け取り、真っ暗な中、ふもとに到着。暗いうちからトロッコの軌道上を歩いて2時間、その先はまた3時間の岩山と川と杉林の道のりだ。と言ってもこれは私のペースであって、慣れた人達(たち)は食事や休憩の時間を含め往復9時間ほどらしい。

 珍しく日照りが続いたが、山の保水能力の高さで岩清水が滔々(とうとう)と流れる。専ら水分補給はわき水だ。島全体を構成する花崗岩(かこうがん)の表面に根を張る屋久杉は、筆紙に尽くし難いイマジネーションをかき立てる。

 ガイドさんから「登りより下りがきついので気をつけて」などと言われていたが、そんなものは教訓めいた精神論だろうと思っていたら、帰りはきついというようなものではなかった。下りの方が遥かに膝へのダメージが大きく、往復22キロの行程は、自動車生活に慣れた私に、自然を畏(おそ)れる気持ちを肉体的にも実感させてくれたのだった。

〈タレント〉

(2006年12月14日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

まつお・たかし

60年生まれ。84年に「キッチュ」の名でデビュー。テレビ、舞台、映画、ナレーションなど幅広い分野で活躍している。

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