子供の頃、友達の誕生日パーティーにお呼ばれした時、その家のお父様が手品を見せて下さいました。丸めた新聞紙に牛乳を入れて……という有名なあの手品です。それでも私には相当な衝撃で、何てすごいお父さんなんだと心から尊敬し、自分もこんなことがやりたいと思ったのでした。
祖母も手品が大好きで、テレビで「世界の手品ショー」とかやっているとかじりついて見ていました。大人から子供まで喜ばせることができる手品には、大人になった今でも「いつかは私も……」と野望を抱かせる何かがあります。
最近の私のコンサートでは、ただ黙って演奏をするということはまずなく、楽器をお客さんに弾かせたり、名器とそうでない楽器を弾き比べたりと、かなりエンターテインメント化しています。次は何をしようかと日々頭を悩ませていますが、最終目標はもちろん「コンサート&手品ショー」。演奏中にドレスの中からハトが出てきたり、激しい曲の時は弓の先から炎が出たり、弾いている最中に突然バイオリンが小さくなっちゃったり……など夢は膨らむ一方です。しかもこれをマジシャンではなく、演奏者自身がやるというのがミソなのです。
ただ相当な練習期間がいると思うので、まとまった休みがあったらチャレンジしてみたいですね。それよりも一緒にやりたいと思ってくれる仲間が見つからないんだろうな〜。
〈バイオリニスト〉
(2006年12月28日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)