バイオリニストとしての私のこだわりは、もちろん第一に「音」です。その音を表現してくれるコンサートホールに関して、私にはこだわりの規模というのがあります。だいたい800人前後の人が収容できるホール、これが一番「生の音」を聴いていただくには適しているような気がしますし、弾いていても全員のお客様の息が感じられるのです。私は見た目以上に小心者で、人からどう見られているかが気になる性格なので、弾き終わった後お辞儀をしながらも、客席をちらちら見て「みんな楽しんでいるかな?」とか結構気になってしまうのです。その意味では大きすぎるホールだとみなさんの表情がわからず、時としてお客様全員を敵に回しているような疎外感を感じ、怖くて逃げ出したくなることもあるのです。
もう一つの私のバイオリニストとしてのこだわりは、ドレス。素材は音を吸収しないもの。首周りにビーズなんかの飾りつけのあるものなどは、楽器を傷つけたり、変な反響音が出たりするのでNG。あと旅が多い私の重要なポイントとしては、軽くて小さくなり、しわになりにくい。そしてどのドレスにも共通するのがロングドレス。これにはわけがあって、あの中は両足を仁王様のように踏ん張っていて、ミニスカートだとガニ股の足が丸見えになってしまうんですね。あとのこだわりはピンクと花柄レースは着ないこと。だって似合わないんだもん。
〈バイオリニスト〉
(2007年2月1日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)