5年後の僕へ――。30歳になった僕はどうなっていますか?
子どもの頃は、すごくおじさんだな〜というイメージがあったけれど、20歳を過ぎた頃から、早く30歳になりたい! と思うようになりました。その歳になって初めて、自分の生き方や歌舞伎において、何かをつかみ始めていける時期なのではないかな、と思い始めたからです。もちろん、今よりもっとましな役者になっていたい。
野田秀樹さんや渡辺えり子さん、串田和美さんをはじめ、父の交友関係はものすごく広いんです。僕も人との出会いを大切にして、自分自身で人の輪を広げていきたい。現代の演出家の方たちと一緒に「野田版・研辰の討たれ」などの作品を手掛け、歌舞伎の可能性を広げている父の、まさに自決する覚悟で臨む姿が本当に格好いい。僕もいつかそういう事がしてみたい。でも、その道のりは長いな……。そして、僕には弟がいる。2人で何かをしたら、父1人の時よりも、楽しいことは2倍になる。だから弟と一緒に面白いことがしたい。
どんなにつらくても、耐えられるのは、歌舞伎だからこそです。あこがれる人は星の数ほどいますが、やはり祖父や父のように、自分のスタイルを模索しながら確立し、信じる道を歩んでいける、そんな役者に、僕もなりたい。
30歳の僕、どうですか?
〈歌舞伎俳優〉
(2007年3月8日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)