未来の自分へ、というテーマはすこぶる厄介で、そのころの自分がどうなっているか全くわからないところで、どんなメッセージを放てばいいのだろう。ロト6で大金持ちになっているかもしれない。難病を告知され、残された人生を平和活動に捧(ささ)げようと思っているかもしれないし、そもそも明日死んでしまうかもしれないのだ。
来年の事を言えば鬼が笑う、という諺(ことわざ)があるが、昔の人はすでに先のことを語る空(むな)しさに気づいていたのかもしれない。もちろん、未来に向けて夢を語ったり計画を立てたりすることは大切なことではあるけれど、未来の自分に何か言ってやるとなると「だから言っただろう」というようなことしか思いつかない。せいぜい思いつくことといえば、「子供が生まれたときのことを思い出して、彼の未来を制限しないようにしてやれよ」ということを5、6年後の自分に助言するくらいか。しかし、その頃の私の方が今よりも成長していると思いたい。すると「あちら」は、未熟者の意見を聞かされるということで、何とも、である。
過去の自分に言ってやりたいことはいくらでも思いつく。33年前の私に「転校する日が遠足だから制服は着なくていいぞ」、12年前の私には「神戸で大地震があるからふれて回れ」、先月末の自分に「株価が急落するぞ」。
うさん臭い占いが流行(はや)る理由がわかったような気がする。(タレント)