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2006.3.1(木)更新  日本音紀行 もうひとつの風景

流氷(北海道斜里町)

静けさの中 つぶやく海
オホーツク海を埋めた流氷は、潮の干満や風、光の具合で表情を変える。わずかに残る海面を夕日が染めた=斜里町ウトロで、上田頴人撮影。

【交通】ウトロ地区へは、JR網走駅から知床斜里駅まで約50分、斜里からバスで約50分。女満別空港からは、車で約1時間40分。
 早朝、月の光を浴びながら、海に向かって耳を凝らす。ボボッ、プクプッ……。澄み渡る静けさの中、流氷の「つぶやき」が聞こえてきた。

 知床半島の中ほどにある斜里町・ウトロ地区。眼前の白くぼんやり光る氷原は、ところどころ暗い海が口を開け、巨大なハスの葉のような氷を浮かべている。幻想的な景色が明るさを帯びるにつれ、「つぶやき」は徐々に長く、周期的になってきた。その音と共に氷のハスがゆっくりと動く。氷原の下で、巨大な生物が静かに息をしているかのようだ。

 「氷が溶けて空気が出てくる音ですよ。今は海が氷にふたをされて静かですけど、正月のころは、すごい波音でした」。案内役を引き受けてくれた田畑二郎さん(65)が話す。この海で、かつて漁師をしていた。

 流氷が山のように折り重なってビッシリ接岸すれば、海が動くと氷が擦れ合い、深い響きのある音がするそうだ。「船が壊れるような、不気味な音もします」

 流氷のたてる音は実に多様だ、という。だが簡単には出会えない。7年前、流氷の音を求めて冬の紋別を訪れたが、ついに風の音しか聞けなかった経験がある。風の強さや向き、氷の状態、潮の干満といった自然の条件次第なのだ。しかも近年、肝心の流氷が減ってきたとされる。地球温暖化の影響らしい。

 漁師を苦しめた「白い悪魔」は、今や祭りや催しのテーマとなり、地元の人も「流氷がないと始まらない」と話す。主役が「幻」とならぬよう、北の海に向かって祈らずにはいられなかった。

 (鳥越けい子)


 ◆流氷原を散歩&ダイビング

 斜里やウトロの漁協潜水部メンバーがつくるアクアサービス流氷(TEL01522・3・1860、http://www11.plala.or.jp/aqua-ice/)が、流氷原でのウオーキングやダイビングをサポート。ドライスーツを着て流氷原を歩いたり、海に潜ったりする。ウオーキングは5000円(ホームページからの予約は4000円)、ダイビングは2万3000円(特製カニ汁代、保険料など含む)。3月20日(月)まで。事前に接岸状況の確認を。
 
 ◆流氷観光砕氷船「おーろら」

 網走港から沖合までの約10キロを1時間かけて周遊する、450人乗りの砕氷船。厚さ最大1メートルの氷を砕いて進む迫力ある航海が楽しめるという。4月2日(日)まで運航し、3月は1日に6便(サンセットクルーズ含む)が運航中(天候などにより欠航)。3000円、小学生1500円。要予約。問い合わせは道東観光開発おーろらターミナル(0152・43・6000)。
 ◆流氷飴(あめ)

 オホーツクの流氷をイメージし、白と青のあめを2層にしてランダムに割って仕上げた。網走地方限定販売で、網走市内の土産店や駅売店などで買える。大(420グラム630円)、中(250グラム315円)、小(150グラム210円)。問い合わせは市観光協会(0152・44・5849)。
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