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2006.6.14(木)更新  日本音紀行 もうひとつの風景

蕪島(かぶしま)のウミネコ
(青森県八戸市)

どよめく島の 白い主
菜の花が満開の時期、蕪島はウミネコの出産ラッシュ。何かを警戒するかのように時折乱舞する=(撮影・上田頴人)

【交通】JR東北新幹線・八戸駅から八戸線で鮫駅下車、徒歩15分で蕪島へ。
▼三沢空港からバスで市内に出て、八戸駅から同経路。
 遠く海岸線の向こうから、どよめきが聞こえてくる。八戸港内の、海に突き出す岩山のあたり。近づくと、かげろうのようにゆらゆら飛び回る無数の白い影も見えてきた。

 岩山の頂上に登る。そこにある神社の境内は、ウミネコが群れをなして独特の鳴き声を上げ、小学校のようなにぎやかさだ。参道脇で卵を温めるもの、縁側でイカを食べるもの、縄張り争いするもの……。喜怒哀楽の表情すら感じ取れる。

 ウミネコの繁殖地として知られるここ蕪島(かぶしま)には、毎年3万羽以上が飛来し卵を産む。かつては、ウミネコは神の使い姫として地元で大事にされていた。しかし戦時中に埋め立てられて離島は陸続きになってしまい、自然環境が激変。ウミネコは、それでも島を捨てなかった。

 「戦後は、食糧難から卵に手を出す者もおったらしい」。20年来、八戸市のウミネコ保護監視員を務める岡元正光さん(80)がいう。長らく、マグロ漁船の乗組員だった。「ウミネコが見えると、陸(おか)が近いぞ、これで息抜きができるって、ほっとしたもんだ」

 還暦を前に船を降りてから、週の半分は神社内の監視小屋に寝泊まりする生活。親からはぐれて雨にぬれたヒナをストーブで温めたり、キツネを花火で追い払ったり……。

 そんな岡元さんを自宅で待つ妻のすみ子さん(78)。「年にひと月しか戻ってこながったころさ比べれば、今は寂しくもなんともない」。庭に飛んでくるウミネコの鳴き声が、夫の達者ぶりを伝えてくれる。そう思えるのだった。

(横内陽子)


 ◆ウミネコ

 日本でよく見られる中型のカモメ。尾の黒帯と、くちばしの黒と赤の斑点が特徴。ネコに似た鳴き声が名の由来。サハリンから中国東北部沿岸、日本列島にかけて分布し、離島や岩礁で繁殖する。
 ◆蕪島

 約1.8ヘクタールの小島。ウミネコ繁殖地のなか、珍しく間近で観察できる場所。1922年に国の天然記念物に指定。春先から数万羽が飛来し、産卵。夏の終わりに南方へ旅立つ。島からすぐ近くの「八戸市水産科学館 マリエント」(TEL0178・33・7800)では、ウミネコの生態を映像や写真で紹介。午前9時〜午後6時(7月中の(土)(日)(祝)は7時まで)。300円、高校生200円、小中学生100円。
 ▼10月末まで運航の「観光遊覧船シャーク号」(TEL0178・24・0489)と、11月末までの「観光遊覧船はやぶさU」(TEL0178・33・3430)ではウミネコと触れ合える。
 ◆八戸の味覚

 大型市場「八食センター」内には、八戸港で水揚げされたイカをはじめ、新鮮な魚介類を炭火焼きにできる「好きかって広場七厘(しちりん)村」(200円、小学生100円)も。午前9時〜午後6時、(水)休み。TEL0178・28・9311。
 ▼「八戸屋台村 みろく横丁」には20以上の屋台が並び、せんべい汁など郷土料理を。時間や定休日は店舗によって異なる。TEL0178・29・0815。
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