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2006.7.5(木)更新  日本音紀行 もうひとつの風景

広瀬川のカジカガエル(仙台市)

杜の都に 夏告げる美声
百万都市のど真ん中を流れる広瀬川は、自然にあふれ市民のオアシスにもなっている=仙台市青葉区の霊屋橋下流で、上田頴人撮影

【交通】仙台駅まではJR新幹線で東京から約2時間、仙台空港からバスで約40分。
 梅雨空の雲のすき間から薄日が差し込む。杜(もり)の都・仙台市。街並みを見下ろす青葉城の南の、鬱蒼(うっそう)とした渓谷を歩く。広瀬川に合流する小川の遊歩道で、ふいに澄んだ声が聞こえた。フィフィフィフィ……。ふっくらとした透明なトレモロの響き。カジカガエルの鳴き声だ。一匹だけかと思ったら、すぐに数匹の声が重なり、周囲の森にこだました。

 深い山あいの清流に生息し、新緑の季節になると、繁殖期を迎えたオスが石の上でメスを呼ぶ。その美声を、仙台では、駅から車で数分という市の中心部で聴くことができる。

 60年代前半には、生活排水で川の汚染が進み、姿を消したこともある。下水道の整備と、子どもたちによる放流などの努力で復活した。

 「今年は雪が多かったせいか水が冷たくて、出てくるのが少し遅いようです」。市の環境局に勤める吉本守一さん(52)は、清流の目安にもなるカジカガエルを探し、広瀬川をよく歩く。小中学生と実地調査をして「カエルマップ」も作った。長く騒音規制の仕事をしていたが、「皆にいい音を知ってもらう方が効果的だって気づいたんです」。

 教えられた生息場所を歩いてみた。一日つぶしても出会えず、あきらめかけていた翌日の昼過ぎ、耳に飛び込んできた。鳥のさえずりに比べるとまろやかで、口笛のようなやさしい声。普通は朝と夕に鳴くというから、幸運に感謝した。渓流の音にかき消され、もどかしいけれど、目を閉じると、耳が開かれていくのがわかる。のどをふくらませて鳴く姿が目に浮かんだ。

(中村正人)


 ◆カジカガエル

 灰褐色や茶褐色で、突き出た大きな目と発達した指先の吸盤が特徴=写真。日本固有種。オスは3〜4センチ、メスは5〜7センチ程度の大きさで、本州から九州にかけての渓流に生息する。シカの鳴き声に似ていることから「河鹿蛙」の文字が当てられ、仙台では6月半ばから8月にかけて、その美声を響かせる。古くから夏の季語としてうたわれ、正岡子規の「河鹿鳴いて石ころ多き小川哉」などの句がある。
 ◆仙台七夕まつり

 8月6日(日)〜8日(火)、仙台市中心部(仙台駅)。伊達政宗が仙台藩主のころから伝わるまつりで、仙台の夏の風物詩。10メートルを超す竹に商売繁盛や健康長寿の願いを込めた巾着(きんちゃく)や折り鶴など和紙製の「七つ飾り」をつるし、商店街の各店舗がその豪華さを競う。問い合わせは仙台商工会議所(022・265・8181)。
 ▼仙台七夕花火祭=5日(土)午後7時半、仙台市青葉区の西公園一帯(広瀬通駅)。「仙台七夕まつり」の前夜、広瀬川からスターマインなど約1万6000発が打ち上げられ、夜空を彩る。雨天の場合は9日(水)に順延。問い合わせは仙台青年会議所(022・222・9788)。
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