鳥が翼を広げたような形の凧(たこ)が急スピードで降下、上昇したかと思うと、8の字を描いて空中でピタッと静止した。普通の凧揚げと違い、2本または4本の糸(ライン)を操り、自由自在に凧を操縦できるのが「スポーツカイト」の特徴だ。
カーボン製の骨組みにナイロン生地が張ってある。長さ40メートルの糸を両手に持ち、左右平行に強く引くと上昇する。右に引くと右に旋回、左に引くと左に旋回。引きの強弱を組み合わせることで、宙返りなど様々な曲芸飛行が出来る。
第2次世界大戦中、アメリカ海軍のポール・ガーバーによって考案された「ターゲットカイト」がルーツといわれている。表面に零戦を描き、射撃練習の標的とした。東京・日本橋の「凧の博物館」で、当時の実物を見ることができる。その後改良され、スポーツとして変身。特にアメリカやヨーロッパで人気がある。
日本には、約25年前に入ってきた。89年に最初の競技大会が開かれ、現在の競技人口は約5万人。東京近辺では、週末になると葛西海浜公園や多摩川、江戸川などの河川敷に、子どもからお年寄りまで幅広い年代の愛好者が集まる。
競技は、あらかじめ定められた図形をどれだけ正確に描けるかを競う「規定」と、自分の好きな音楽に合わせて振り付けを考え、芸術性やテクニックを競う「バレー」があり、空中のシンクロ、フィギュアスケートとも呼ばれる。個人、ペア、チームの3部門があるが、男女の区別はしていない。
「性別も年齢も関係なく一緒に参加出来るのも、魅力の一つ」と、98年のワールドカップで優勝した江見健二朗さん(41)は話す。「大きな青空をキャンバスに、風の力だけを使って自分の思うままにカイトを飛ばす心地よさは、なんともいえない快感です」
問い合わせは、全日本スポーツカイト協会(TEL0725・32・7614、http://www.ajska.gr.jp)。