かくしてギターを買ったのだが。サンプラザ中野だー!
流山市立南部中学校の2年生だった。フォークソングにはまっていた。「かぐや姫」に。そして「グレープ」に。長崎出身のさだまさしさん率いるグレープは73年の10月にデビューした。デビュー曲に続く「精霊流し」は、初盆を迎えた死者の御霊(みたま)を乗せた精霊船を流す、地元長崎の行事を題材にした歌だった。とても悲しい旋律と、ぴたりとはまったさださんが奏でるバイオリン。たちまちファンになってしまったのである。というわけで、フォークギターを買ってもらうことになった。
流山には楽器屋さんがなかった。なので柏にまずは下見に行った。友人と。当時、中村屋という老舗(しにせ)の楽器屋があった。今はもうないのだが。そこで5000円のギターを見つけた。帰って親に報告。了承を得たので、次の週末また柏へと向かった。
お目当てのギターのもとへ一目散、のはずだった。だがしかし、魔が差した。路地を入ったところの店の軒に、ギターが並んでいるのを見つけてしまったのだ。ついふらふらと近寄っていった。すると、高級感あふれるギターが破格の値段で売られているのであった。なんという幸運。神に感謝した。そしてちょっとだけ悩んで5000円の木目の高級ギターを買った。友人は中村屋に行って安っぽい塗りのギターを買った。
家に帰って練習を始めた。教則本を見ながら。しかしいっこうに上達しなかった。とにかく弦をおさえて音を出すのが大変だった。最初は誰でもこうなのだ、と練習に励んだ。しかし友人と比べると、確実に進歩が遅いのであった。ある日、近所の青年がギターを見に来た。「お、なかなか格好良いね」「弦がうまくおさえられなくって」「どれどれ。あーやっぱり」「え?」「これネックが反っちゃってるわ」「?」「どこで買ったの?」「柏の路地裏の」「あそこは質屋だよ」「がーん!!」
そのギターが悪かったのか、練習が足りなかったのか。いまだにギターが弾けない俺(おれ)なのである。
| <サンプラザ中野 プロフィール>
1960年生まれ、山梨県出身。46歳。84年に爆風スランプのボーカルでデビュー。7月からソロ活動を開始。
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